娯楽業
娯楽業とは、映画館や劇場、競輪・競馬、公園などの運営を内容とする業種のことを指します。
これらの多くが、労働時間の問題において、特例措置対象事業場の対象になります。
特例措置対象事業場
通常は1週間の法定労働時間は40時間ですが、特定の業種で、常時使用する労働者が10名未満の事業場であれば、法定労働時間を週44時間とすることができます。
業種 |
内容 |
商業 | 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業 |
映画・演劇業 | 映画の映写、演劇、その他興業の事業 |
保健衛生業 | 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業 |
接客娯楽業 | 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業 |
週40時間労働制であれば残業代が発生してしまうような場合でも、週44時間制を導入できれば、残業時間がゼロになる、ということも考えられます。
ですから、特例措置対象事業場の対象になるのに見逃してしまっていては、もったいないことになるかもしれません。
「常時使用する労働者」
「常時使用する」の意味については、労働基準法では明確に定義されていません。
正社員が含まれるのは当然のことと考えられますが、アルバイト・パートの場合はどうでしょうか。
一般的には、1日の労働時間や週の勤務日数とは関係なく、定期的に勤務をしていれば、アルバイトやパートでも「常時使用する」従業員に含まれると考えられています。
また、10人未満という制限は厳しいようにも思えますが、10人未満の制限がかかるのは、あくまでも事業場単位であり、会社の単位ではありません。
したがって、会社全体で従業員が数百人いたとしても、一つの事業所や支店の従業員数が10人未満であればこの条件を満たすこととなります。
その他にも、不動産管理業を営みながら不動産仲介業も営んでいる不動産会社というのも見受けられますが、この場合には特例措置対象事業場の対象になるのか、という問題があります。
この場合には、過去1年間を振り返ったときに、その会社の主たる業務はどちらであったかを、実態に即して判断します。
具体的には、売上の比率、従業員の数によって個別具体的に判断することになっています。
週44時間労働の活用法
「1週間あたり44時間以内」
単純に1週間の労働時間を40時間から4時間増やした44時間にする方法です。
具体的には以下の2つが考えられます。
- 週6日勤務で土曜日のみ4時間労働
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
休 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 4時間 |
- 週6日勤務で1日7時間20分労働
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
休 | 7時間20分 | 7時間20分 | 7時間20分 | 7時間20分 | 7時間20分 | 7時間20分 |
変形労働時間制
<1か月単位の変形労働時間制>
1か月の中で、平均して1週間当たりの労働時間を44時間以内にする労働時間制度です。
<例>
1週目 36時間
2週目 51時間
3週目 49時間
4週目 40時間
<フレックスタイム制>
特例措置対象事業場では、フレックスタイム制を導入することもできます。
フレックスタイム制とは、労働者自身が日々の労働時間の長さや始業・終業時刻を決定することができる制度のことです。
この制度と併用することで、1日8時間を超えて働くことができるようになります。
娯楽業においては、その多くが特例措置対象事業場の対象となるため、労働時間については注意が必要です。
自身の事業所が対象となるのか、知らないままでは活用できるものもできなくなってしまいます。
対象となるか否かはもちろん、どのような形で週44時間労働を実施するべきか、顧問弁護士がアドバイスいたします。
労働時間について悩みがある方はぜひ一度この制度について検討してみてください。