不動産業
不動産業の法律問題
①家賃滞納問題
不動産の仲介業者、又はオーナー様の相談等で一番多いのは、家賃の滞納問題です。
家賃の滞納が続き、支払いを催促しても連絡が取れなかったり、のらりくらりとかわされたりしてなかなか払ってもらえません。
そこで、退去を求める通知などを出しますが、それでも退去してくれないということが非常に多いです。
このような場合に強制的に退去させるため、追い出し屋という違法業者に鍵を賃借人に無断で買えてしまって、賃借人を入れなくするという事例を聞いたことがあります。
しかし、このような追い出し屋による強制退去は違法です。
大家さんや仲介業者さんが、違法業者に依頼したことにより罪に問われたり損害賠償問題になってしまったりする可能性があります。
ですから、このような追い出し屋などを使った追い出しはお勧めできません。
家賃が未払いとなった場合には、根気よく説得を続けて任意に出て行っていただくか、または裁判などの法的措置により追い出すしかありません。
②用法違反問題
賃借人のトラブルで次に多いのが用法違反問題です。
他の賃借人ともめる、夜中に部屋で騒ぐ、ゴミ捨てのルールを全く守らないなどの問題があげられます。
このような賃借人はいわば問題賃借人といえます。
不動産業をされている人は良くご存知かと思いますが、日本には借地借家法という法律があり、賃借人の権利が強く守られています。
③契約書トラブル
契約書の条項を工夫しておけば、賃借人に修繕費用などの金員の負担を求められたのに、インターネットのひな形や、業界で使われているひな形を安易に使用したために、金員の負担ができなかった、というような事例があります。
★当事務所の解決事例
事例1
<相談内容>
賃借人が荷物等を放置したままアパートから退去してしまった。
<解決>
賃借人の住民票を調査しましたが、賃借人の住民票上の住所はアパートのままでした。
賃借人の入居時の勤務先が保証人となっていたことから、まず、賃借人と連帯保証人である会社に滞納家賃の支払いを求める内容証明郵便を送付しました。
賃借人宛の通知が返送されてくることはもともと承知の上で送付していたのですが、連帯保証人の会社宛の通知についても内容証明は受け取られず、留置期間経過で返送されてきました。
そこで、賃借人に対し滞納家賃の支払いと退去を、連帯保証人の会社宛に滞納家賃の支払いをそれぞれ求める裁判を起こしました。
その結果、連帯保証人の会社が裁判に出廷し、会社との間で滞納家賃を分割で支払う旨の和解が成立しました。
和解にあたっては、会社の代表者に連帯保証をしてもらう内容としました。
賃借人については、内容証明と同様、通常の方法では裁判所からの書類は届かないため、公示送達という特別の方法で賃借人に書類が届いたという体裁を整え判決をいただき、最終的に明渡の強制執行手続きをしました。
事例2
<相談内容>
賃借人2名に対して明渡請求をしたい。
<解決>
いずれの賃借人も、遅れながらも賃料の支払いをしていたことから、まずは、ご依頼者名義で賃料の支払いを求める内容証明郵便を出しました。
しかし、賃借人のいずれからも賃料の支払いがされなかったため、次に、支払いがなければ賃貸借契約を解除するという内容証明郵便を再度ご依頼者名義で賃借人双方に通知しました。
それでも期限内に支払いがなかったことから、今度は弁護士名義で滞納家賃の支払いと建物からの退去を求める内容証明郵便を送付しました。
その上で、双方の賃借人に対し滞納家賃の支払いと建物からの退去を求める裁判を起こしましたが、賃借人はいずれも裁判に出頭せず、こちら側の言い分通りの判決が言い渡されました。
賃借人らはいずれも、判決後に任意で建物から退去しました。
うち1名については、滞納家賃について分割で支払う旨の合意ができました。
合意の際には賃借人の子を連帯保証人としました。