中小企業さんの中には、取引先が差し出してきた契約書を専門家にチェックしてもらわないで、そのまま記名押印をしているという会社があります。
これには、色々な理由が考えられます。
考えられる理由としては、このようなものです。
①そもそも、内容がよくわからない。
②チェックをして修正の必要があったとしても取引先に修正を依頼するのがためらわれる。
③今まで取引先から提示された契約書を使ってきて、特に問題がなかった。
中小企業さんの中には、取引先が差し出してきた契約書を専門家にチェックしてもらわないで、そのまま記名押印をしているという会社があります。
これには、色々な理由が考えられます。
考えられる理由としては、このようなものです。
①そもそも、内容がよくわからない。
②チェックをして修正の必要があったとしても取引先に修正を依頼するのがためらわれる。
③今まで取引先から提示された契約書を使ってきて、特に問題がなかった。
しかし、①については、相手方が提示してきた契約書というのは必ず相手方有利にできています。
これは、私が顧問先さんから契約書の作成を頼まれた場合には必ず顧問先さんに最大限有利に契約書を作ることから、間違いなく言えます。
相手方から提示された契約書は相手方の利益に最大限配慮されていて、逆に契約を結ぶこちら側には不利にできています。
そのような契約書を、何らチェックをしてないで結ぶというのは、むざむざ不利な契約を結ぶだけでなく、どこにリスクや問題点があるかを把握しないで契約を結ぶもので、とても危険です。
②修正を依頼するのがためらわれる、という問題についてはこちらが弱い立場のときには、修正を頼むのは確かに言いづらく,気持ちはよくわかります。
ただ、言い方を工夫すれば修正することができます。
例えば、「弁護士に修正するよう言われた」などの言い方です。
それに、あまりに不利な契約であれば、そもそも契約をすること自体を見直さなければならないときもあります。
③については、今まで大丈夫だったからといって、今後大丈夫かどうかは保証されていません。
一度契約書を結んでしまうと、ずっとその契約に縛られることになります。
契約書が問題となるのは、相手方が約束通りに商品の代金を入金してこなかったとか、こちらが納品した商品に何度もクレームをつけてくるとか、普通でない状態が起きたときです。
今後、このような普通でない状態がいつ発生するか分からず、今まで大丈夫だったからと言って、今後も大丈夫とは言えないのです。
①、③からすれば、契約書をチェックしないで結んでしまうというのは、とても危ないことであると言わざるを得ません。
契約を結ぶときに、インターネットで見つけた契約書のひな形を使う方がいます。
確かに、専門家に契約書を作ってもらう必要もなく、コストもかからないため、一見すると便利なように思えます。
では、ひな形を使って契約を結んでも大丈夫なのでしょうか。
結論としては、ひな形をそのまま使って契約を結ぶのはお勧めできません。
契約書の重要な機能は、取引をできる限りこちら側に有利にする、という点にあります。
単純な売買契約書でも、売主と買主で、利益は対立します。
売買契約には瑕疵担保責任というものがあります。
専門的な言葉ですが、内容は単純で、売買の目的物に瑕疵(不良というような意味)があった場合に、売主は損害賠償などをしなくてはならないというものです。
例えば、中古のアナログ時計が、買って1週間で動かなくなってしまったとします。
この場合、時計に瑕疵があったといえます。
このようなとき、買主としては損害賠償や契約の解除を求めたいところです。
民法では、売主は1年間、解除や損害賠償請求に応じなくてはならないとされています。
買主としては、このような補償期間はできる限り長いほうが好都合ですが、売主は補償期間が短い方が得といえます。
1年の瑕疵担保責任は、外すこともできますし、逆に1年ではなく3年など長くすることもできますから、こちら側が有利になるように条項を変更することができるのです。
売主の側で契約書をチェックするときには、瑕疵担保責任を外すようアドバイスします。
逆に買主の側でチェックするときには、3年など長くするようアドバイスします。
このように、契約書というのは双方の利益が対立する場面なのです。
インターネットで取得できる契約書のひな形というのは、買主有利にできているのか、売主有利にできているのかが分かりません。
買主の側で、ひな形を使って売買契約書を作成したところ、そのひな形はむしろ売主有利のものだったということも起こりかねません。
結局、そのひな形が買主有利なものなのか、売主有利なものなのか分からないので、安易にインターネットで取得できるひな形を用いるのはお勧めできません。
最近は、日本も契約社会になりつつあり、何かあった場合に取引先に泣き付いても取り合ってもらえないということが十分に考えられます。
ですので、契約書は専門家にチェックしてもらうことを是非お勧めします。
当事務所で契約書のチェックをする場合の費用は、こちらをご覧ください。