その他(業種)
警備業
警備業は認定を受ける事が出来なければ、警備業として開業する事はできません。
所在地を管轄している警察署に申請をし、無事に認可が下りたら、公安委員会からの認可を受ける事になります。
警備業に特有の法律問題として、警備業法違反があげられます。
警備員の違法派遣
警備員は本来、身元がはっきりとした、信頼できる人物でなければなりません。
警備業務は、オフィスやイベント会場、遊園地などで盗難等の事故の発生を防ぐことを目的としており、このような仕事内容からしても、厳密な身元の確認が必要になることは明らかでしょう。
もし警備業において派遣を可能にしてしまうと、現金や貴重品の盗難予防に来てもらっているのに、「どこのだれか」「適正はあるかどうか」のチェックを、第三者の人材派遣会社に任せることになってしまいます。
以上より、警備業務についての労働者の派遣は労働者派遣法違反になり、それについて警備業法上の行政処分が課されます。
ちょっと警備員の数が足りないから他社の警備員に応援に来てもらおう、というような場合も、警備業法違反になってしまいます。
少し手伝ってもらいたいだけだったのに、と言っても、以下のような処分を受けることになるのです。
1.営業停止処分
通常は、違法派遣をした側、受けた側の双方に7日~14日間の営業停止処分が課されます。
2.指導教育責任者証の返納命令
指導教育責任者は、 警備会社の教育担当者として、警備員に対して指導教育を行うための資格です。
事件に関与した指導教育責任者に対しては、指導教育責任者資格証の返納命令が出されることがあります。
3.再発防止策の報告
再発防止策を立案して公安委員会に報告することが公安委員会から指示されます。
4.現場責任者に対する研修の実施
現場責任者に対して労働関係法令に関する研修を実施し、その結果を書面で提出することが公安委員会から指示されます。
営業停止処分が科されてしまうところ、会社が大きなダメージを受けるのは必至です。
違法派遣事例の発生を防ぐために、警備先の顧客と自社の2社間で警備業務請負契約を結ぶのではなく、応援に来てくれる警備会社も加えた3社間の契約にすることがおすすめです。
3社間の契約を作っておけば、違法派遣にはなりません。
葬儀業
情報開示
葬儀は、日常的に利用するサービスではないため、消費者は事前に情報をほとんどもっていないことが多いと思われます。
かつては近所で葬儀が行われると手伝いに行く慣習もあり、葬儀を重んじる人も多くいましたが、現代では葬儀に対する意識は薄れています。
葬儀業者に丸投げし、詳しいことはよくわからない、という人も多いでしょう。
そのため、よりわかりやすい情報提供が葬祭業者には求められています。
しかし、葬祭事業者の側からの情報提供は、価格表や写真付きのカタログを配布する程度であり、十分な情報提供がなされているとは言い難いのが現状です。
本来、葬儀業者は見積書を出す必要がありますが、葬儀の依頼は、家族の死亡直後で家族が動揺している時期に行われます。
きちんと説明しないと、依頼者は見積書を受け取ったのか曖昧で、説明もしっかり理解できていないということもあるかもしれません。
追加料金発生時の説明
上記のように見積書を出したとしても、それで確定するものではありません。
当日になって追加料金が発生することも大いにありうるのです。
冷静に考えれば、当日の状況により変動し、追加料金が発生する可能性は理解できるところでしょうが、葬儀の慌しい状況ではこのことが充分に依頼者に理解されません。
こうした遺族の心理状況も理解したうえで、葬儀業者には丁寧な説明が求められることになります。
相続の問題
依頼者から見ると、葬儀の担当者は、故人のことに関する最も身近な相談相手になります。
そこで、法律的な難しい相談を持ちかけられてお困りになった、あるいは誰に相談して良いか途方に暮れている御遺族の姿を見たことがある、といった経験がある方もいるのではないでしょうか。
葬儀業における顧客とは、葬儀に関することだけではなく、死亡後の諸手続や相続、不動産の管理や登記、税金の問題など様々な問題を抱えた方になります。
このような相談を受けたとしても、性質上回答が難しい内容が多く含まれているため、「仕事の範囲外である」というような形で、結果として依頼者を突き放す形にならざるを得ません。
また、不正確な回答になるかもしれない危険を承知で、事実上相談を受けた人が依頼者の悩みに答えようとしても、相談を受けている方自身の精神的負担にもなってしまいます。
こういった問題も、顧問弁護士がいれば、依頼者に顧問弁護士を紹介することができ、葬儀の担当者が悩む必要はなくなります。