株式の承継

 

後継者への株式の承継方法は、主に売買、贈与、遺言です。

 

 

売買

 

売買するときは、株式や不動産を時価で売ることになります。

 

株式をあまりに安く売ると、後で税務署から指摘を受けて贈与税を払わなければならない事態も考えられますので、注意が必要です。

 

 

株式を上手に廉価で売却する方法としては、オーナーに退職金を払い、会社の業績を一時的に悪化させてから売却するなどの方法があります。

 

ただ、売買は、後継者がどのように資金を用意するかが問題です。
  

 
 

贈与

 

売買では、後継者が資金を用意しなくてはなりませんが、贈与だと後継者が資金を用意しなくてもできます。

 

しかし、贈与は高い税率の贈与税がかかるというデメリットがあります。

 

贈与税対策としてポピュラーなのは、110万円の非課税枠を使って行う方法です。

 

承継させる株式の時価が110万円を下回っていれば、1年で終わりますが、なかなかそうもいかないと思います(110万円以上のことが多いと思います)。

 

ですから、数年に渡って贈与することになります。

 

 

事業継承の方法として、非課税枠を使って、数年に渡り贈与を続けるという方法が一番良いと思います。

 

この非課税枠を使った生前贈与に加え、他の相続人の遺留分対策として、経営承継円滑化法の除外合意というものを使えば、事業承継としては完璧となります。

 

 

なお、数年に渡り贈与ができないときは、相続時精算課税制度というものを使って生前贈与するという方法があるのですが、この制度はあまりメリットがないのでお勧めしません。

 

また、相続税の納税を免除する制度もあるのですが、雇用の8割を維持しないといけないという条件があります。

 

この条件は結構きついものだと思いますので、この制度も個人的にはお勧めできません。

 

 

遺言

 

数年に渡って贈与する時間がない場合には、株式を全て後継者に相続させる遺言を用意することになります。

 

遺言を残す場合は、公正証書遺言を利用することを推薦します。

 

公証人役場で、公証人という準公務員に作成を手伝ってもらうもので、有効性が担保されます。

 

遺言の場合も、生前贈与と同じように遺留分が問題となります。

 

遺留分対策として、経営承継円滑化法の除外合意を利用することをお勧めします。

 

 

株式の贈与の注意点

 

後継者に株式を生前贈与していると、他の相続人の遺留分を侵害することになりかねません。

 

遺留分について簡単に説明します。

 

例えば、A男とB子という子がいたとして、A男に全ての株式を生前贈与していたとします。

 

生前贈与がされる前は、父Cが100%の株式を持っていました。

 

B子は、もし生前贈与がなければ、50%相当の株式を相続できたはずです。

 

そこで、生前贈与がされたとしても、B子の利益を保護するため、25%についてはB子の相続分を守ってあげましょう、というのが遺留分です。

 

 

この遺留分があるため、株式の生前贈与をしていたとしても、相続後(先代がお亡くなりになった後)一定割合について他の相続人が後継者に株式を寄越せと言っていけることになります(正確には,株式は共有となりますが、専門的な話ですので割愛します)。

 

企業オーナーとしては、「うちの兄弟は仲がいいから、相続争いになどならない」と思う方がいるかもしれません。

 

しかし、親の他界後、仲が良かった兄弟が相続で争いになることは非常に多いので、今仲が良くても、今後どうなるかは分かりません。

 

ですから、単に株式を生前贈与するだけでなく、生前贈与に加えて、遺留分に対する対策までしておくことが必要です。

 

 

遺留分対策については、経営承継円滑化法という特別の法律があり、株式の生前贈与を遺留分の計算から除外することができます。

 

生前贈与した株式を遺留分の計算から除外することが有効といえるには、経済産業大臣の認定と家庭裁判所の許可が必要となってきます。

 

後継者以外の相続人は、遺留分請求ができなくなってしまうかもしれませんので、行政と裁判所が二重にチェックして、他の相続人の利益が不当に害されていないかをチェックすることになります。

 

 

当事務所では、経営承継円滑化法に基づく、生前贈与等を遺留分計算から除外するための、経済産業大臣や家庭裁判所への許可申請を、代理で行います。

 

着手金は75万円、成功報酬が75万円(いずれも税抜の額です)となります。

 

 


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