弁済合意書の作成

 

 

多くの場合は、債務者は一括で払えないということで分割弁済の合意をしていくことにならざるを得ません。 

 

今まで支払う意思を見せていなかった人から、「分割でなら」などと言われると、分割ででも支払ってもらえると思い、もしかしたら嬉しいかもしれません。

 

 

ただ、「分割でなら」と言われたときに、ただ漫然とそれに応じるのではなく債務者と交渉する必要があるという点は、「債務者との交渉」を見ていただければわかると思います。

 

ここでは、債務者と交渉した結果、何回の分割か、保証人はつけてもらえたか、などの問題が決まった後、それをどのような形で合意するかについて述べさせてもらいます。

 

 

まず必要なのは、書面を残すことです。

 

書面を残すことには二つのメリットがあります。

 

1.書面が証拠になる 

 

2.債務者に分割金の履行を促す

 

 

これらについて簡単に解説します。

 

 

メリット①書面が証拠になる

 

貸金の場合などによくあるのですが、お金を貸したものの、借用書などの書面が残されていないということがよくあります。

 

この場合、債務者が分割でなら払えるというので、分割の弁済の合意をするとします。

 

分割の合意をしたのに、債務者が分割金の支払いを怠ったらどうなるでしょう。

 

 

この場合、裁判などをして回収にかかることになります。

 

裁判ではまずこちらの方で貸金があったということを書面で証明しないといけません。

 

裁判前には払うと言っていた人が、裁判になった途端、貸金など知らないなどと開き直ることは裁判の世界ではよくあります。

 

ですので、分割弁済の合意ができたら、必ず、それを書面化してください。

 

 

書面化することにより、のちの裁判などで、もともとの貸金や売掛金があったことの証明を省くことができます。

 

 

メリット②債務者に履行を促すことができる

 

分割弁済の約束をしてそれを書面化し、債務者に署名捺印させ形に残した場合、口頭の約束と比べると、債務者に履行を促すことについてのプレッシャーをかけることができます。

 

このような心理的効果の観点からも書面化しておくことが必要だと思います。 

 

 

さらに、分割弁済の約束を書面に残す場合には必ず期限の利益喪失約款というものをいれます。

 

期限の利益喪失約款というのは、分割の合意をする際に意味のあるもので、分割合意の約束に違反した場合には、残額を全額支払わなければならないというものです。 

 

期限の利益喪失約款を入れた、分割弁済の合意書は、以下のフォーマットを利用してみてください。

 

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(上の画像をクリックいただくとフォーマットがダウンロードできます。)

 

合意の効力を更に強めるものとして、公正証書にするという方法もあります。

 

公正証書にすれば、債務者が分割弁済を怠った場合、即座に強制執行の手続に入ることができます。

 

分割弁済の合意は、ただの書面でやるか公正証書でやるかのどちらかが代表的な方法で、多いのはただの書面でやる方法です。

 

 

その他に、裁判所を通した「即決和解」という方法でやることもできます。

 

即決和解の場合も債務者が支払いを怠った場合、即座に強制執行できます。

 

 

このように、分割弁済の方法も色々ありますが、どのようにして担保を取るか、どのような合意をするかは、やはり債権回収の経験のある弁護士に判断を任せるのがベストです。

 

 

債権回収が問題になるのは、債務者の支払い能力に難がある時がほとんどで、債務者はあなたの債権の他にたくさんの債務を負っていることが多いです。

 

債権回収というのは、少なくなった債務者の資力から、いかに早く回収をするかという局面で、椅子取りゲームに近いところがあります。

 

早く椅子を取って座れる人もいれば、着手が遅れて椅子に座れない人もいます。

 

債権回収はいかに早く効果的な回収方法をとるかが非常に大事です。

 

ですので、債権額が大きな場合などには、債権回収に詳しい弁護士に依頼することを検討するのが良いと思います。

 

 


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