問題社員対応の極意―退職勧奨
何度も懲戒処分をしても問題鼓動が改まらない場合、次にとるべき手段は退職勧奨です。
退職勧奨とは、労働者が能動的に退職することを促すことです。
この退職勧奨を行う際には、どういった流れで退職までもっていくのかシナリオを作成することが重要です。
退職勧奨のシナリオ
- 退職勧奨をする前に、なぜ退職してもらいたいのかを整理する
- 労働者の問題行動を、退職勧奨をする理由としてまとておく
- 労働者が退職勧奨に応じるメリットを提示する
- 退職勧奨を行う
- 退職してもらう
メリットとは、例えば以下のようなものが考えられます。
- 本来であれば退職金は出ないが、退職勧奨に応じれば退職金として〇万円を受け取れる
- 退職金を上積みする
退職勧奨を行う際には、断ることもできるということをはっきりと伝えるようにしましょう。
また、労働者の問題行動を責め立て、強引に退職に追い込むのはいけません。
未来展望型で退職勧奨を行うようにしましょう。
未来展望型とは、労働者の問題行動について触れる時に、「あのときのあの行動が悪かったんだ」「誰もお前とは仕事したくないよ」とねちねちと恨みつらみをぶつけるのではなく、
「現状では当社とあなたとの間で信頼関係が薄れている。他の会社で働いた方があなたの能力を発揮できる。その方があなたにとっても、社会にとって良いでしょう。」
と、ポジティブな言い方を目指しましょう。
退職勧奨の注意点
こうしてみると、何だ簡単じゃないかと思われる方もいらっしゃることと思いますが、注意が必要です。
それは、退職勧奨が強迫だとされないようにする、ということです。
実際に、「退職届を出さなければ懲戒解雇するぞ」と従業員を脅して退職届を提出させた事案では、退職届の取り消しが認められています。
会社としては退職勧奨をしたつもりであっても、退職の強要といえるほどの行為があったとなると、実質的に解雇と同視されることになってしまいます。
退職勧奨を行う際には注意をするようにしましょう。