新型コロナウイルスと労災問題―2
医療従事者以外であっても、業務中の感染が労災認定される可能性があるということを解説しました。
それでは、実際に労災認定されると、どうなるのでしょうか。
労災認定がされると・・・
<事例>
労働者が、業務中の事故により障害等級8級の事故に遭った。
- 労働者の年収:460万円(月給30万円、賞与年回100万円)
- 労働者は指示通り業務をせず道具を危険な方法で使用していた
- 503万円の労災給付金が支給された
その後、労働者は裁判を起こした。
裁判所は、労働者にも3割の過失があることを認めました。
この3割という数字は、労災問題における過失割合としてはかなり大きな数字で、労働者には相当な過失があったと判断されたことになります。
しかし、裁判所が判決で認めた労働者の総損害額は3,350万円にもなったのです。
そのうち503万円は労災給付金が支給されていますから、会社が負担する部分は2,847万円となりますが、莫大な金額であることに変わりはありません。
このように、労災問題は会社にとって大打撃となりかねないのです。
以前は、労災給付金を得られればそれで終わり、という事件が多くありました。
しかし、労災給付金は、本来であれば会社が労働者に支払うべき賠償額の一部に過ぎません。
よって、労災問題が起きてしまうと、会社はまさしく身を削って賠償をする必要があるのです。
事例にあげたのは業務中の怪我が労災認定されたものでした。
これが、新型コロナウイルスの感染により、労働者が亡くなってしまった場合にはどうなってしまうでしょうか。
業務中に感染し、その感染が労災だと認定されれば、数億円もの賠償額になるとも考えられるのです。
新型コロナウイルスの感染により、労災という大きな問題に発展してしまうという事実をしっかりと理解し、社内での安全対策に努めるようにしましょう。