整理解雇




整理解雇とは・・・

会社の経営不振などにより人員削減(リストラ)することを言います。


整理解雇が有効と認められるためには一定の要件が必要です。充足すべき要件は、以下の4項目です。

 

【充足すべき要件】

 ①人員削減の必要性
 

 ②解雇回避措置
 

 ③人選の合理性
 

 ④手続きの相当性


上記①~④の全てを満たさないと整理解雇はできないという考え方(4要件説)と、上記①~④それぞれの充足の程度を総合考慮して整理解雇の濫用であるかどうかを判断すべきという考え方(4要素説)があります。




ここで、人員削減の必要性には様々な程度があります。



また、解雇回避措置も、会社の規模によって取れる措置は変わってきます。

➡4要素説のほうがきめ細やかな判断ができるので、実務上、4要素説が有力です。
(出典:白石哲編(2018)『労働関係訴訟の実務』商事法務、p363-364.)



しかし、実際の裁判では、①~④のうち1つでも欠けていれば整理解雇は認められません。


もし会社が整理解雇の無効を争う裁判を起こされた場合、裁判所では4要素が慎重に判断されるため、会社側が勝つのは非常に難しいでしょう。





4要素が認定されるには・・・



①人員削減の必要性

この点については、裁判では比較的緩やかに認められます。


②解雇回避措置

裁判では、この点は厳しい判断がされることが多いため、様々な措置をとる必要があります。
なお、①人員削減の必要性との相関関係で判断されているのが実情です。
人員削減の必要性が高ければ、解雇回避措置を厳しくは考えませんが、人員削減の必要性が低い場合には、解雇回避措置については厳格に要求されます。


解雇回避措置としては、少なくとも以下の措置を一通り実行していないと、解雇回避措置を採ったとは認められないと言えます。

(解雇回避措置の例)
・役員の報酬カット、ボーナス不支給
・管理職の賃金、ボーナスカット
・一般社員のボーナスカット
・新規採用中止
・所定時間外労働の禁止
・希望退職の募集
・ワークシェアリング
・昇給停止
・広告費、交通費、交際費などの経費削減の努力
・非正規社員との労働契約解消
・退職勧奨 等

これらを一通り実行するというのはかなりハードルが高く、このことが裁判において整理解雇の有効性が認められないことの大きな原因となっています。



③人選の合理性

人選の合理性があることについて、客観的な事情があることが望ましいです。


(客観的な事情があるとされる例)
欠勤、遅刻の多さ、勤続年数、年齢、共稼ぎ、家族構成など


★なお、能力などは客観的な評価が難しいので、人選の理由にしないほうがよいでしょう。



④手続きの相当性

労働組合があれば動労組合と交渉し、ない場合は、資料を示して労働者に十分に説明することが必要です。






以上からすると、有効な整理解雇を行うためには非常に慎重に手続を進めていく必要があると言えます。

中小企業の事業者様で整理解雇についてお悩みの方は、特に上記②の解雇回避措置を一通り行っていく必要がありますので、是非当事務所までご相談ください。


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