派遣業の労使協定方式による同一労働同一賃金

 

労使協定のポイント

 

厚生労働省が労使協定方式について詳細な書式をウェブ上で公表しています。

 

 

社労士先生向けの雑誌などでも、この厚生労働省の書式に基づいた労使協定案が記載されていますが、非常にわかりづらいと思います。

 

厚生労働省の書式では、①基本給・賞与、②通勤手当、③退職手当など詳細に規定するようになっていますが、ここまで詳細に記載しなくてもよいと考えます。

 

もう少し、シンプルなものの方が手間がかからず良いでしょう。

詳細な賃金規定は、労使協定ではなく、賃金規定などの就業規則ですれば良いと考えます。

 

 

労使協定を有効にするには、派遣法30条の4に記載されている点を網羅すればよいだけです。

 

派遣法30条の4で労使協定にて定めなくてはならないとされているのは以下の点です。

 

 

一 その待遇が当該協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲

 

二 前号に掲げる範囲に属する派遣労働者の賃金の決定の方法(次のイ及びロ(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあつては、イ)に該当するものに限る。)

イ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。

ロ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があつた場合に賃金が改善されるものであること。

 

三 派遣元事業主は、前号に掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たつては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。

 

四 第一号に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定の方法(派遣労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違が生じることとならないものに限る。)

 

五 派遣元事業主は、第一号に掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第三十条の二第一項の規定による教育訓練を実施すること。

 

 

労使協定には、これらのことを遵守すると記載すればよいだけです。

以下の①から④を労使協定に盛り込むことがポイントです。

 

  • 派遣先の一般の労働者の平均的な賃金額として厚生労働省が定める額以上の賃金とすること
  • 能力などの向上があった場合、賃金を上げること
  • 賃金の決定にあたっては公正に評価すること
  • 賃金以外の待遇の決定方法(派遣元の社員との均衡を考えて不合理なものでないようにする)
  • 段階的・体系的な教育訓練を実施すること

 

当事務所では、これらを網羅した協定の書式を作成しました。

良かったら参考にしてみてください。

 

 

 

なお、労使協定をする際の従業員は、派遣される社員に限られず派遣元で事務を取り扱う社員を含めても問題ありません。

 

労使協定や賃金規定の作成について悩んでおられる事業者様は、当事務所で作成させていただきますので、ご連絡ください。

 


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