嘱託職員への期末・勤勉・扶養手当の不支給はパート有期法9条違反か?-社会福祉法人紫雲会事件-宇都宮地方裁判所 令和5年2月8日判決(労判No.1298)

 

障がい者支援施設で就労していたXは、定年後嘱託職員として勤務することになりました。

定年後の嘱託職員には、期末手当(賞与のようなもの)、勤勉手当、扶養手当、年末年始休暇、夏季休暇がありませんでした。

 

Xは、施設に対し、これらの処遇が労働契約法旧20条、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の処遇等に関する法律(パート有期法)8条、9条などに違反するとして提訴しました。

 

 

結論は、

「①期末手当(賞与のようなもの)、勤勉手当、扶養手当がなかったことについては違法ではない」

とされたものの、

「②年末年始休暇、夏季休暇がなかったことについては違法」

とされました。

 

この裁判例で特徴的なのは、期末、勤勉手当の不支給に関するパート有期法9条違反について請求が認められない、とされていることです。

 

 

この判断について裁判所は、

 

「パート有期法9条違反が認められるためには、処遇の相違が期間の定めに関連して生じているだけでは足りず、『処遇の相違が有期労働契約であることを理由としたものであること』を要する」とした上で、「Xに期末、勤勉手当の支給がされていないことはXが定年後再雇用の嘱託職員であることを理由としたもので、有期雇用労働者であることを理由とした差別的取り扱いではない」としました。

 

条文の構造や趣旨に即した妥当な判断です。

 

 

 

 

 

 

 


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