外国人労働者から新型コロナウイルスが心配なので帰国したいと申し出があったら?

 

新型コロナウイルス感染拡大により、外国人の雇用関係にも影響が出ています。

 

 

先日、とある企業が、今年3月から受け入れるはずだった中国人技能実習生に対し、日本に来る前に、自宅(中国)待機命令をし、その上で受け入れを拒否したということが問題視される事件がありました。

 

これは、その中国人技能実習生が新型コロナウイルスに罹患していることを恐れてのことだと思われます。

 

 

しかし、熱が出るなどの症状なしに自宅待機命令をするのはさすがに乱暴であり、違法な命令であるといえ、会社は自宅待機させている間の賃金を全て支払う義務を負うことになります。

 

違法な自宅待機命令は、賃金の全額支払いというリスクを負うことになりますので、くれぐれも控える必要があります。

 

 

 

では、外国人技能実習生から、新型コロナウイルスの感染が心配であるとして帰国したいとの申し出があった場合、会社は出社命令を出せるでしょうか。

 

 

まず、前提として押さえておく必要があるのは、労働契約により、労働者は所定時間仕事をする義務を負っています。

 

正当な理由がないのにこの義務を拒むことはできず、労働者が出社しない場合、会社は出社命令ができます。

 

 

 

問題は、新型コロナウイルスの感染拡大を恐れての出社拒否や帰国が、出社を拒む正当な理由になるか否かです。

 

 

これは、企業が従業員の生命・身体の安全に配慮をしているかどうかによります。

 

企業がコロナウイルスの対策指針を定めて、その指針に基づいてコロナウイルスの感染防止に努めており、特に職場に感染が疑われるような状況もない時は、従業員は出社をする義務を免れることはできません。

 

企業がきちんと指針を定め、従業員の安全に配慮している場合、帰国したいとの申し出があっても出社するよう命令できます。

 

 

外国人労働者が、この命令に違反して出社しなかったり帰国してしまったりしたような場合には、企業は懲戒や解雇といった処分を行うことができます。

 

ただ、退職をして帰国したいと言われた場合には、拒むことはできませんので、退職を受け入れるしかありません。

 

大切なことは、各企業で、コロナウイルス対策の指針を定め、しっかりと指針通りに感染防止に努め、従業員に安心して仕事をしてもらえるようにすることだと思います。

 

 

 

当事務所では、お客様向けのコロナウイルスについてのご案内と、従業員向けの指針を作成しました。

 

ご自由にダウンロードして、書式として参考にしてみてください。

 

 

 

 


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