新型コロナウイルス感染症に関する助成金
今般の新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、日中間の人の往来が急減したことにより、事業活動が急激に縮小する事業所が生じ、雇用への悪影響が見込まれます。
このような状態を受けて、厚生労働省から各種助成金による支援が行われます。
今回のコラムでは、3つの助成金制度についてご紹介いたします。
助成金の申請をご希望の方は、社労士先生をご紹介差し上げますのでご相談ください。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例
<対象>
- 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
(日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となる。)
1.要件緩和等
①生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮。
<現行>販売量、売上高等の事業活動を示す生産指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ10%以上減少している事業所であることが必要。
<特例>比較期間を最近1か月する。
②最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とする。
<現行>雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことが必要。
<特例>撤廃する。
③事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とする。
<現行>生産指標等を前年同期と比較するため、事業所設置後1年未満の事業主は対象外。
<特例>新型コロナウイルス感染症を受けて中国湖北省への渡航中止勧告が出された令和2年1月24日時点において事業所設置後1年未満の事業主についても、助成対象とする。中国(人)関係の売上高等の総売上高等に占める割合は、事業所設置から初回の計画届前月までの売上高等により確認し、①の生産指標は、令和元年12月と初回の計画届前月の指標とを比較することとする。
2.計画届の事後提出が可能
現行、休業等に係る計画届は事前の提出が必要だが、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届に関し、令和2年3月31日までに提出があれば、休業等の前に届け出られたものとする。
3.助成金の支給額
助成金の支給額については、以下のように計算することになります。
まず、前年度の雇用保険保険料の対象となった賃金の総額を、1年間の雇用保険被保険者数で割り、さらに年間所定労働日数で割って単価を出します。
この単価に休業手当の支払い率を掛けた金額の2/3が、休業1日当たりに支給される助成金額です。
4.特例対象期間
令和2年1月24日から令和2年7月23日の間に開始した休業等が対象となる。
★3月10日には、さらなる特例措置が講じられることとなりました。
追加実施
- 追加の特例措置(全国)
1.雇用保険被保険者期間が6か月未満の労働者を助成対象とする。
新規学卒採用者等、雇用保険被保険者として継続して雇用されている期間が6か月未満の労働者についても助成対象となる。
2.過去に受給していた事業主に対する受給制限の廃止。
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、以下のとおりの取扱いとなる。
①前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象とする。
②通常、支給限度日数は1年間で100日、3年間で通算150日までのところ、今回の特例の対象となった休業等については、その制限とは別枠で受給可能とする。
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
「時間外労働等改善助成金」(※令和2年4月1日以降は「働き方改革推進支援助成金」に名称変更予定)に、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う事業主を支援する特例コースが時限的に設けられています。
<対象>
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主。
※試行的に導入している事業主も対象となる。
- 対象となる中小企業事業主の範囲
労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること。
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
1.助成対象となる取組
- テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等
※ パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外
2.主な要件
事業実施期間中に
- 助成対象の取組を行うこと
- テレワークを実施した労働者が1人以上いること
3.助成の対象となる事業の実施期間
令和2年2月17日~5月31日
4.支給額
補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円)
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金
小学校等の臨時休業に伴い、有給休暇を取得したいと考える保護者の方は多いのではないかと思います。
それに対し、労働者のために有給休暇を与えたくても、新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ちている現状では、休んでいる労働者の分まで賃金を出すのは苦しい…と、ジレンマに陥っている企業もまた多いいのではないでしょうか。
そこで、子どもがいる労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、労働基準法の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金が創設されます。
助成内容
令和2年2月27日から3月31日において、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10
※1日1人当たり8,330円を助成の上限とする。
<対象となる事業主>
①又は②の子の世話を行うことが必要となった労働者に対し、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主。
①新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等に通う子。
②風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子。
<対象となる保護者>
・親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母等)であって、子どもを現に監護する者。
・上記のほか、各事業主が有給休暇の対象とする場合は、子どもの世話を一時的に補助する親族も含む。
<対象となる日>
①の子…学校:学校のもともとの休日以外の日
その他施設:本来施設が利用可能な日
②の子…学校の春休みなどにかかわらず令和2年2月27日から3月31日の間は対象
- 半日単位の休暇、時間単位の休暇
対象となる。(※ただし、勤務時間短縮は所定労働時間自体の短縮措置であり、休暇とは異なるため対象外。)
- 就業規則等における規定の有無
休暇制度について就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいが、就業規則等が整備されていない場合でも要件に該当する休暇を付与した場合は対象となる。