新型コロナウイルスによる雇止め

 

 

現在の新型コロナウイルスの問題による景気後退で、資金繰りが難しくなっている企業も少なくはないかと思います。

 

半年、1年などの期間付きで採用している社員について、期間の更新をやめたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

 

「期間の更新をやめる」とは、いわゆる雇止めと言われます。

 

では、新型コロナウイルスによる景気後退を理由に更新をしないということは許されるのでしょうか。

 

 

 

「こういったことに備えて有期にしたのだ。期間を決めて雇っているのだから、当然、許されるはずだ。」というのが素朴な感想かもしれません。

 

しかし、一定の場合には、合理的理由がなくては雇止めはできないと法律で定められています。

 

 

以下のような場合には、簡単に契約を終了できなくなります。

  • 10回以上、10年など長い期間にわたって反復して雇っている場合。
  • 最初の契約の際や更新の際に、「5年くらいは頑張ってもらいたい。ゆくゆくは正社員に。」など社員に期待を抱かせていたような場合。

 

 

 

社員を有期で雇用をしている場合、①、②に該当するケースは数多く見られます。

 

このようなケースで安易に雇止めを行うと、後に裁判などを起こされ、会社は大変な経済的ダメージを負うことになります。

 

ただ、①、②に該当する有期契約の社員でも合理的な理由があれば雇止めできます。

 

 

 

では、新型コロナウイルスによる景気後退は合理的な理由になるでしょうか。

 

 

新型コロナウイルス問題による景気後退で雇止めをするというのは一見、やむを得ないように思えます。

 

ただ、裁判などで争われた場合、会社の財務状態が悪くなりそうだという抽象的な理由ではなく、具体的に財務状況が悪くなっていることを証明する必要があると思います。

 

 

その他、どのように雇止めする人を選定したか、希望退職を募ったか、しっかり社員に雇止めを説明したか等、様々な要素により合法な雇止めであるのかが決まってきます。

 

様々な要素がかかわるため、結論はケースバイケースと言わざるを得ませんが、雇止めを適法とするためには、状況づくりが重要です。

 

雇止めを適法とするための状況づくりは、労働問題に詳しい弁護士に相談助言を貰いながら進めることをおすすめします。

 

 


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