被害者がいないところでの悪口にも慰謝料が認定される?―医療法人社団Bテラス事件―東京高等裁判所 令和5年10月25日判決

 

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)に関して,被害者がいないところでの悪口について慰謝料が認定された珍しい判例をご紹介します。

医療法人社団Bテラス事件(東京高裁R5.10.25判決)です。

 

【事案の概要】

歯科医院の院長Yが労働者である歯科医Xについて歯科衛生士と共に,

「Xの態度は懲戒に値する,子供を産んでも実家や義理の両親の協力は得られないのでは,暇だからパソコンに向かって何かを調べている,マタハラを理由に訴訟を提起しようとしているのではないか,育ちが悪い,家にお金がない。」

との悪口を言ったところ,それがボイスレコーダーで録音され,違法行為であるとして訴訟提起されました。

 

【裁判所の判断】

裁判所からは,これらの発言はXが耳にすることを前提としたものではないものの,院長Yの地位,立場を考慮するとこれらの悪口に興じることはYの職場環境を害するものとして不法行為にあたると認定されました。

 

録音はXが「自身が悪口を言われているかもしれない」と思い,控室にレコーダーを設置して行ったものです。

本人がいないところでの悪口が不法行為にあたるとされた割と珍しい判例です。

 

 

【訴訟の結果】

慰謝料は元本20万円,それに対する弁護士費用が2万円でした。

日本の裁判からすると慰謝料は相場通りといった感じです。

 

 

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