解雇は難しい?―3

 

解雇が認められやすいとされる解雇事由はいくつかありますが、実際の注意点について確認しましょう。

 

 

度重なる欠勤による解雇

 

前回のコラムで紹介した<解雇が認められやすいカテゴリー>の②度重なる欠勤・遅刻に該当しますね。

 

じゃあ解雇しちゃえばいいんじゃないの?と考える方も少なくないでしょうが、それは危険です。

 

 

解雇が有効とされるためには、以下の点が検討されることになります。

  • どの程度欠勤や遅刻があったか
  • どの程度注意や警告をしたか

 

つまり、いきなり解雇することはできないのです。

 

 

 

当事務所で扱った事例を紹介いたします。

 


 

ある会社の社員が約5か月の間に、20回以上の無断遅刻・欠勤を繰り返していたため、会社は段階的に以下のような措置をとった。

 

  • 社員の出社意欲向上のため、本人の希望する課に配置転換した
  • 業務改善指導を行い、遅刻・欠勤を厳重に注意する警告書も出した上で、改善されないようなら厳正な処分をすることを通告した
  • 遅刻・欠勤の理由を聴聞し、けん責の懲戒処分をした
  • 再度遅刻・欠勤の理由を聴聞し、5日間の出勤停止の懲戒処分をした

 

しかし、無断遅刻・欠勤が改善されることはなく、普通解雇処分をするに至った。

 


 

ここまで手続きを重ねて初めて、解雇をすることができるのです。

 

 

解雇は最後の手段であり、できるだけ避けなければなりません。

とはいえ、どうしても解雇をせざるを得ないようなケースも考えられます。

 

ではどうすればよいのかというと、解雇無効の裁判で勝てる解雇をすれば良いのです。

 

少しずつ業務指導や懲戒処分を重ね、解雇を最終的なゴール地点として設けることで、解雇というひとつのプロジェクトを完了することができます。

 

 

また、解雇をする際にあたり、労働者の言い分を聞く手続きを経るようにしましょう。

 

この手続きを告知聴聞手続きといい、この手続きをしないと解雇が無効となってしまう恐れがあります。

 

 

手続きの後には、手続を行ったことを書面に残しておくことでより安心できます。

 

 

さらに、解雇する事実と解雇理由を書いた解雇通知書を作成してから、解雇するようにしましょう。

 

この書面を作成しないまま解雇をすると、やはり解雇無効となってしまう恐れがありますので、注意が必要です。

 

 

やっぱり解雇は難しい

 

以上のように、解雇は容易なことではありません。

 

何か問題行為があったからと言ってすぐに解雇ができるというわけではなく、じっくりと時間をかけて、解雇というゴールに向かっていく必要があります。

 

解雇はひとつのプロジェクトである、と考え、腰を据えて取り組むようにしましょう。

 

 


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