解雇は難しい?―2

どんな理由があれば解雇できるのか

 

就業規則に当てはまっていても解雇できない上に、解雇は原則として無効例外的に有効とされるならば、一体どんな理由があれば解雇ができるのでしょうか。

 

 

<横領での解雇>

営業に必要な旅費であると偽り、多額の旅費を不正に請求した社員の解雇について、裁判所は解雇の有効性を認めました。

 

横領行為は、非常に違法性・悪質性の高い行為です。

したがって、その処分は重く、解雇が有効とされる傾向にあります。

 

たとえ少額の横領であっても「金額が少ないから許してあげよう」とはなりません。

それは、金銭を横領したという点だけではなく、”会社の信頼を裏切った”という事実が重く評価されるからです。

 

 

また、横領での解雇は、解雇予告手当を支払わなくてよい可能性があります。

 

 

通常、解雇をする場合には、30日以上前に解雇の予告を行うか、解雇予告手当を支払う必要があります。

 

解雇予告手当とは、解雇日の30日以上前に予告することなく解雇する場合に支払はなくてはならない手当のことです。

解雇日の10日前に解雇を伝えた場合には20日分の賃金を、当日に解雇する場合には30日分の賃金を支払うことになります。

 

 

労働基準法第20条3項では、解雇について労働者に責任がある場合には、この解雇予告手当を支払う必要がないと定めています。

 

注意すべきは、「労働者に責任がある解雇か否か」を判断するのは会社ではなく、労働基準監督署であるという点です。

 

会社が解雇予告の除外認定をしてくれ、と申請をし、それを受けた労基署が労働者にヒアリングを行って除外認定の判断をするのです。

 

 

横領の他にも、窃盗や障害などの重大な犯罪行為を理由とする解雇の場合には、労基署の除外認定を受けられる可能性があります。

 

 

 

それ以外の理由では・・・?

 

横領のように、重大な犯罪行為がある場合には解雇が有効となりやすいことはお分かりいただけたかと思います。

 

この他にも、解雇が認められやすい理由がいくつかあります。

 

<解雇が認められやすいカテゴリー>

①経歴詐称
②度重なる欠勤・遅刻
③配置転換の拒否
④会社に対する裏切り

 

以上の4つは解雇が認められやすい・・・とはいえ、注意が必要です。

 

 

そのままいきなり解雇をしても、無効とされてしまう可能性があります。

 

次回は、解雇をする際の注意点について解説いたします。

 


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