解雇は難しい?―1

 

就業規則違反があったら解雇できる?

 

従業員を10人以上雇用している企業であれば、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければいけません。

 

就業規則とは、労働者が守らなければならない規則などについて規律したものであり、作成・周知することで企業内の問題を未然に防ぐことにも繋がります。

 

 

 

解雇に関しては、就業規則に記載しなければならない事項に当たるため、具体的な解雇事由を列挙しておく必要があります。

 

<例>

35条 会社は次の場合に、社員を普通解雇する

 

1.会社に無断で2日連続で欠勤した場合

2.勤務成績が不良で、就業に不適格であると認められたとき

3.・・・・・・

4.・・・・・・

 

それでは、実際に2日連続で無断欠勤をした社員を、上記規則の1に当てはまるとして解雇することは可能でしょうか。

 

もちろん、この社員が解雇について納得してくれたなら問題はありません。

しかし、この社員が「解雇なんておかしい!納得できない!」と、会社を訴えた場合には一筋縄ではいきません。

 

たとえ就業規則に当てはまっていても、解雇権の濫用と言える場合には、裁判所は解雇を無効と判断すると考えられます。

 

 

 

解雇を無効とした裁判例―高知放送事件

 

解雇権の濫用による解雇無効については、労働契約法第16条に定められています。

解雇理由に客観的合理性・社会的相当性が無かったときに、解雇権を濫用したとされることになるのです。

 

この客観的合理性・社会的相当性がやっかいなもので、非常に厳しい条件となっています。

 

この点を判断した判例として、有名なものが「高知放送事件」です。

 

 

2週間に2回の放送事故を起こしたアナウンサーの解雇について、有効性が争われた事件です。

 

2週間に2度の放送事故を起こしたとなれば、客観的合理性・社会的相当性も十分満たすように思われますが、裁判所はこの解雇について無効だと判断しました。

 

 

 

「気に入らないから解雇する」「だらしないからクビだ」

こういった理由で解雇すれば当然無効だろう、ということは安易に予想できるとかと思います。

しかし、この「高知放送事件」でも解雇が無効となることに、疑問を持った方も少なくないのではないでしょうか。

 

裁判の実務では、解雇は原則として無効例外的に有効という運用がされており、解雇が無効とされた判例も非常に多いのです。

 

 

次回は、どんな理由であれば解雇ができるのか、解説いたします。

 

 


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