特別送達とは? 裁判所から送られてきた時の対応


会社を経営されている方や総務を担当されている方の中には、ある日突然、裁判所から書類が送られてきた、というご経験をお持ちの方もいるかもしれません。
例えば、取引先の会社が破産したことを知らせる通知や、従業員の給与を差し押さえる手続きに関連して、その従業員の在籍状況や給与額について会社に回答を求める通知などを受け取った覚えのある方もいるのではないでしょうか。
裁判所からの数々の通知の中でも、決して無視をしてはいけない通知(そもそも裁判所からの通知を無視するのは良くないことですが)に「特別送達」というものがあります。
「特別送達」とは
「特別送達」とは、名宛人に対して郵便局員が直接手渡しをして送る形式の郵便物です。
受け取る際には印鑑や署名をする必要があります。
名宛人本人(会社であれば通常は代表取締役)が受け取る場合は押印で足りますが、本人以外(会社であれば従業員など)が受け取る場合は、受け取った方の氏名をフルネームで記入する必要があります。

特別送達で送られてくる郵便物は、
・訴状
・期日呼出状
・判決正本
・支払督促正本
・債権差押命令正本
など、非常に重要な書類ばかりです。
例えば、訴状であれば、答弁書を出すなどの対応をしないと相手方(原告)の言い分が認められた判決がいずれ言い渡されることになりますし、支払督促正本であれば、2週間以内に異議申立をしないと判決と同じ効力をもつ書面が出来てしまいます。
そうなると、「特別送達で送られてきた書類を受け取らなければ、裁判上の手続きは始まらないのではないか?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、結論から言えば、受け取りを拒否しても法的な効力を止めることはできません。
特別送達で送られてきた書類は受取拒否できるのか
1.玄関先での受け取り拒否(差置送達)
特別送達は、正当な理由なく受け取りを拒否することができません。もし、郵便局員に対して「受け取りたくない」と伝えても、郵便局員は書類をその場に置いていきます。この場合、書類は受け取られたものとして処理され、送達が完了したことになります。これを差置送達といいます。
(根拠条文:民事訴訟法第106条3項)
2.不在や居留守による不達(付郵便送達)
居留守などで書類を直接受け取らず、不在票が入ったまま郵便局での保管期間が過ぎてしまうと、郵便物は一旦裁判所に戻されます。しかし、これで手続きが終わるわけではありません。
裁判所は、相手方(訴えを起こした側)に対し、受取人側(会社であれば実際に営業しているか、個人であればそこに住んでいるか)の調査を促します。その調査結果に基づき、相手方からの申出により、「付郵便送達」という手続きに切り替わる場合があります。
付郵便送達とは、書類を普通郵便ではなく書留郵便などで送ることで、裁判所が郵便物を発送した時点で、受取人が実際に受け取ったかどうかにかかわらず送達が完了したとみなす手続きです。
つまり、この手続きが取られてしまえば、その後、書類を実際に受け取り拒否したり、郵便局での保管期間内に取りに行かず返送されたりしたとしても、法的には通常どおり書類を受け取った場合と同じ効力を持つことになります。

(なお、付郵便送達については、以下のページもご参照ください。)
先に述べたとおり、裁判所から特別送達で送られてきた書類はとても重要な書類であり、会社として何か対応しないといけない内容である可能性が非常に高いです。
ですので、裁判所から特別送達で郵便物が送られてきたら、必ず受け取りすぐに中身を確認してください。もしたまたま社内に誰もいなくて郵便局の不在票が入っていた場合でも速やかに再配達依頼をかける、あるいは直接郵便局まで取りに行くようにしてください。
弁護士にご相談ください
特別送達で送られてきた郵便物の中身を確認したら、例えば退職した従業員から未払残業代の支払いを求める訴状が届いた、あるいは身に覚えのない借金の支払いを求める支払督促が届いたなど、期限内の対応が必須な場合がほとんどです。
書類を受け取ったにもかかわらず対応が遅れると、会社にとって極めて不利な結果(相手方の請求が全面的に認められるなど)を招くことになります。
弊所では、裁判所からの書類を受け取り、「何を、いつまでに、どう対応すればいいかわからない」とお困りの方からのご相談・ご依頼を広くお受けしております。
裁判所からの書類を受け取り、その後の対応でお困りの方は、是非一度弊所にご相談ください。












