ハラスメントの種類 -誰と誰の間の問題か-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目次

1 パワハラは誰と誰の間の問題か?

2 ハラスメントの種類

 2.1 セクハラ

 2.2 マタハラ

 2.3 パタハラ

 2.4 カスハラ

3 ハラスメントのリスク

 

 

 

 

1 パワハラは誰と誰の問題か?

 

 

 

ところで、パワハラは誰と誰との間の問題だと思いますか。

 

 

上司と部下や先輩と後輩、正規社員と非正規社員など、いわゆる上下関係にある者同士の間で起こるものだと思われる方が多いと思います。

 

 

最近では、こういった上下関係にある者の間だけではなく、同僚同士や、部下から上司に対しても、パワハラ問題になると考えられています。
また、顧客からのハラスメント(いわゆるカスタマーハラスメント)という類型ものも増えてきています。

 

 

 

 

このように、パワハラが生じる人間関係は広くなってきています

 

 

ハラスメントがあった場合に、企業がなにも対応せず放置しておくと、ハラスメントを受けた当事者だけでなく、他の社員までも「こんな会社にはもういられない」と退職してしまったり社員がメンタル不調に陥ってしまったりという事態に陥ることが考えられます。結果、会社の生産力が低下してしまい、昨今の深刻な人手不足の状況と相まって仕事が回せなくなる可能性があります。


このように、ハラスメントは企業経営上、大きなリスクとなりえるのです。


従いまして、ハラスメント防止に取り組むことは、企業にとって大変意義のあることと言えます。

 

 

 

2 ハラスメントの種類

 

2.1 セクシャル ハラスメント

 

 

 

セクハラ:性的な嫌がらせで、特に、女性が職場などで男性から受ける性的な言葉や行為

 

 

前回のハラスメントコラムでも述べたとおり、パワハラ同様セクハラも、加害者が自身の行為がセクハラだと気付いていない場合が多いです。

 

 

男女間に力関係があり、女性が有利に取り扱ってもらいたいか、または不利益に取り扱われたくないので我慢しているという構図がほとんどです。

また、加害者になりうる人物が「自分に気があるかもしれない」等と勘違いしている事例が多く見られます。

 

 

企業としては、研修などでそのような考えが勘違いであることを気づかせる必要があります。

 

 

 

当事務所で扱った事例

 

ある役所に1年の期間付き職員として採用されたX(30代女性)は、正規職員になることを望んでいた

そんなXに対し一方的に好意を持った人事権を持つ上司Y(50代男性)がいた

Xが人間関係のことでYに相談したことに乗じて、YはXの携帯電話のメールアドレスを聞き出した

当初は相談に乗るというメールを送っていたが、次第に好意をほのめかす長文メールを送るようになった

Xは正規職員になりたいという思いがあり、Yからのメールを無視できず返信をしていた

ある日Yは、Xを勤務時間後に呼び出し、車の中で強引に手を握った

XはYの行為について、他の上司に相談できなかった

約2ヶ月間、YからXに毎日のように電話やメールが送られた

結果、Xは心身に支障を来し仕事を休みがちになり、メールが始まってから約2ヶ月後に退職した

 

 

最終的にXがYから慰謝料数百万円を受けることで示談しました。

 

このように、セクハラの慰謝料は高額になりがちです。

 

また、この事案ではたまたま個人間でのやりとりで示談が成立しましたが、もし、被害者が会社に対してセクハラを訴え、会社がセクハラ防止の対策をなんら講じていなかったとしたら、会社が被害者に対して慰謝料を支払う必要が出てくる可能性もありえます。

 

 

 

 

2.2 マタニティ ハラスメント

 

 

 

マタハラ:妊娠、出産、産休等を理由に会社が不利益な処分をすること

 

 

マタハラに対し裁判所は会社側に厳しい判断を下す傾向にあります。

 

司法判断だけではなく、報道等で社会的な事件に発展する可能性もありますので、マタハラにならないよう注意することは重要です。

 

 

 

 

2.3 パタニティ ハラスメント

 

 

パタハラ:育児のための制度を利用しようとする男性職員に不利益な処分をすること

 

 

パタハラと言えば、株式会社カネカの元職員の妻が、育児休暇を取得した夫に転勤命令が出たことをTwitterに投稿した件が記憶に新しいところでしょう。

 

 

カネカ元職員の妻がTwitterに投稿した内容 ▼

 

 

この件は、自宅を建築した直後だったにもかかわらず、育児休暇を取得したことに対し、見せしめ的に転勤命令を出したとインターネットで大炎上しました。

 

 

さらに、この炎上の結果、カネカの株価は下落し、年始来安値を更新しました。

 

 

 

このように、パタハラはマタハラとともに炎上するリスクがあり、それによる会社側の被害は甚大です。

 

 

 

 

 

2.4 カスタマー ハラスメント

 

 

カスハラ:顧客・取引先から受ける嫌がらせや、過度なクレームのこと

 

 

BtoB(会社間取引)の場合:

仕事を発注する方が力関係が上にあることが多いため、お得意先が無理難題を言ってきたり、お気に入りの女性を担当につけろと指名してきたりすることがあります。

 

 

BtoC(企業と一般消費者間の取引)の場合:

お客様が職員に不当な要求をしたり、セクハラをしたりといったことがあります。

 

 

 

ある企業が行った調査

・直近3年間でカスタマーハラスメントが増えていると感じるか?

➡ 55.8%が「とても増えている」あるいは「増えている」と回答しています。

 

・カスタマーハラスメント顧客の対応に困ったときにどこに相談しているか?

➡ 33.7%が「弁護士に相談している」と回答しています。

 





 

3 ハラスメントのリスク


ハラスメント単体で損害賠償請求の裁判を起こされても、慰謝料を50万円程度支払うという判決が出る程度で、損害賠償請求単体でみれば、企業が受ける損害はそれ程大したことはないと言い得ます。

しかし、ハラスメントには、損害賠償請求されるリスクだけではなく

①SNSなどでの炎上リスク、転職サイトで中傷される中傷リスク

②有能な社員が辞めるという人手不足リスク

③ハラスメントと長時間労働との合わせ技での労災(精神疾患での労災)リスクとその後の労災民事訴訟(安全配慮義務違反での損害賠償)リスク


があります。


ハラスメントを放置しているとこのような深刻なダメージを受ける可能性がありますので、企業としてはこれらのリスクを軽減させておく必要があるのです。

 




当事務所では、各種ハラスメントに対し代理人として対応することも可能ですので、もし、ハラスメントでお困りの場合にはぜひご相談ください

 

 

 

 

 


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