長期間(行為から7年)経過後の懲戒処分の有効性 -ネスレ日本(懲戒解雇)事件-最高裁判所第二小法廷 平成18年10月6日判決 百選№54

 

 

 

【事案の概要】

X1,X2(Xらはユニオンの中心的人物であった)は上司Bに対し,

①ネクタイや襟をつかんで壁に押し付ける

②首に左手を回し,右手で腹部を殴る

等の暴行をする。

刑事事件の捜査に6年を要し,結果Xらは不起訴となった。

会社は不起訴後にXらの暴行等を理由にXらを諭旨解雇したところ,Xらは解雇は無効だとして会社を提訴した。懲戒処分時,暴行から7年以上経過していた。

一審は会社敗訴,二審は会社勝訴,最高裁では会社が逆転敗訴となる。その結果,解雇の無効が確定する。

 

 

最高裁が解雇無効とした理由は二点あります。

①不起訴となったのに今更(7年も経過しているのに)諭旨解雇という重い処分を科す合理性が見いだせない,

②時間の経過により企業秩序は回復している,

という点です。

 

暴行等があった場合に刑事事件の結果を待ってから処分をするというのはよくあることです。

ただし,捜査にあまりに時間がかかっている場合には,刑事事件の結果を待たずに独自の判断で懲戒処分をしていくことを検討する必要がありますね。

 

弊所では,懲戒処分に関するご相談・ご依頼を広くお受けしております。懲戒処分に関するお悩みを抱えていらっしゃる企業様,社労士先生におかれましては、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

 


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