山口観光事件(最高裁判所第一小法廷 平成8年9月26日判決 労判百選№53)

 

問題社員対応で一考できる重要労働判例があります。

 

それが山口観光事件(最判H8.9.26 労判百選№53)です。

 

【事案の概要】

Xが会社に電話で「疲れたから2日休みたい。」等と言ったところ会社から「もう必要がないので辞めてくれ。」と言われました。

その後Xが解雇されたとして裁判所に申立をした後,会社は「経歴詐称があったからその点も解雇理由に加える」と述べました。

結論は,裁判所により,1回した解雇について後で理由を追加することはできないと判断され,会社が敗訴しました。




この判例のように,会社が懲戒処分をした後,後で理由を追加することはできません。

Xは「疲れたから休みたい」等と言ってきて,それなりの問題社員だったのでしょう。 本件で,会社がXを解雇したいなら,どうすれば良かったでしょうか。

 

「もう必要がないので辞めてくれ。」というのは解雇とみなされます。その発言は問題行動なのですがその発言だけで解雇はできません。解雇の有効性を争われたら会社は負けてしまいます。


会社がどうすれば良かったかというと,まず会社としては,一旦解雇を撤回します。負ける解雇裁判を引き延ばすと会社は大ダメージを負います。

その上で,会社は,問題行動に対し処分を積み上げ,経歴詐称と共に新たな解雇をすべきでした。



問題社員対応で一旦行った解雇が無効とされてしまう事例がありますが,このような場合は,解雇を撤回し新たな解雇をすることにより問題社員に退職してもらうことを検討してみてください。

 



弊所では,問題社員対応に関するご相談・ご依頼を広くお受けしております。問題社員対応に関するお悩みを抱えていらっしゃる企業様,社労士先生におかれましては、ぜひ一度当事務所までご相談ください。


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