財産開示手続とは

債務者の財産を差し押さえるためには

売掛金や貸付金などの支払いを求めて裁判を起こし、支払いを命じる判決が言い渡されたにもかかわらず、相手方が支払いをしてくれない、というご相談をお受けすることがよくあります。

判決があれば、債務者が所有している不動産や預貯金、給与、売掛先などの財産を差し押さえて債権を回収することができます。

判決に基づいて債務者の財産を差し押さえるためには、不動産の場合は競売申立、預貯金や給与、売掛金などの場合は債権差押申立というものを裁判所に対して申し立てる必要がありますが、具体的にどういった財産を差し押さえるかという特定は債権者が行わなければなりません。

不動産であれば地番や家屋番号、預貯金であれば金融機関と支店名、給与であれば勤務先、売掛金であれば売掛先、といったものです。

裁判所が調べてくれるわけではないのです。

しかし、債務者がどんな財産を有しているかわからないことがほとんどだと思います。

そこで登場するのが財産開示手続という手続きです。

財産開示手続とは

財産開示手続とは、簡単に言うと、裁判所を通じて債務者がどういう財産を有しているかを述べさせる手続です。

財産開示手続という制度自体は2004年に制定されたものでしたが、債務者が裁判所からの呼び出しに応じなかったり、自身が持つ財産について嘘をついたりした場合のペナルティは30万円以下の過料(刑事罰ではなく行政罰の括りになります。)のみであり、あまり実効性がないと言われてきました。

しかし、財産開示手続について定めている民事執行法という法律が2020年に改正され、裁判所からの呼び出しに応じない、あるいは自身の財産について嘘をついた場合には6月以下の懲役又は50万円以下の罰金という懲役刑を含む刑事罰が科されるようになりました。

実際にも、裁判所からの呼び出しに応じなかった債務者に対し債権者が警察に告発した結果、書類送検されたという事例も出てきています。

弊所でも、財産開示手続の結果呼び出しに応じなかった債務者がいたため警察に告発をしたところ、告発が受理された事案があります。この事案では、警察の捜査が入った結果、債務者から債権額全額を支払うという申し出があり、無事に全額を回収することができました。

このように、現在では、財産開示手続は債権回収の手段として一定の成果を上げられるようになっています。

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