ハラスメント問題が大きくなる前に解決できた例
目次 1 相談窓口の現状 2 ハラスメント被害職員の相談場所 3 当事務所が扱った事例 3.1 事例1「偽ハラスメントの可能性」 3.2 事例2「盗撮」 3.3 事例3「暴言によるパワハラ」 4.4 事例4「業務時間外における暴行」
4 まとめ(法的リスクとその対応策) |
1 相談窓口の現状
ハラスメント予防措置のひとつに相談窓口の設置があります。
しかし・・・
・相談窓口を設置した企業が82.9%
・相談窓口があることを把握している従業員は45.5%
➡ 従業員の窓口認知度は低く、相談窓口は機能しにくい状況
2 ハラスメント被害職員の相談場所
ハラスメントがあった場合、従業員は実際どこに相談しているのでしょうか・・・?
(厚生労働省調べ)
このように、会社関係、つまり上司や窓口に相談しない場合、外部に相談が行く可能性があります。
(外部・・・労働組合、労働者側社会保険労務士、労働者側弁護士など)
外部組織等に相談されると紛争が大きくなり、会社の負担も増えます。 ➡従業員が会社外部に相談するのを防ぐためにも、窓口を活性化する必要がある |
3 当事務所で扱った事例
ここで、当事務所で扱った事例を4つご紹介します。
3.1 事例1「偽ハラスメントの可能性」
事例1
社員Xが課長Yに対し、「課長(Y)の~~の言動には納得いかない、ハラスメントだ」等のメールを頻繁に送りつけた Yは度重なるメールで精神的に疲弊していた Xは会社での自身の評価にも納得できず、転職することになり、一件落着かと思われた しかし、Xの転職先が神奈川県内にあり、引っ越し費用がかかるとのことで、Xが課長Yに「引っ越し代と慰謝料を払ってもらいたい」というメールを送りつけてきた 人事に対しても、Yからハラスメントされたことをほのめかすようなメールが送られてきた |
この件についてはXの言動から偽ハラスメントが疑われました。
偽ハラスメントというのは、ハラスメントを受けていると主張している人が加害者の言動を誇大に表現しているものです。
本件では社員Xよりむしろ課長Yの方が精神的に参っていました。
ただ、ハラスメントをほのめかすメールが人事に送られてきた以上、会社としては対応しないわけにはいきません。
Xが送っていた度重なるメールの方が問題行動のようにも思われたので、Yの立場に配慮する観点からも事実関係をはっきりさせようと思いました。
そこで、Xを呼び出し、「上司(Y)からハラスメントを受けているようなので事実関係の調査を開始する」と通告しました。
そうすると、Xは慌てて「そこまでやらなくてよいです。事を荒立てる気はありません」と言い、その後何事もなく退社し、神奈川へ引っ越して行きました。
2.2 事例2「盗撮」
事例2
社内で、管理職Xによる盗撮が発覚した 盗撮内容は、着替えなどの盗撮ではなく、女性社員が仕事をしている姿など日常生活の盗撮だった しかし、日常生活であっても同意なく撮影するのは違法である |
この件について、盗撮をした管理職Xは退職勧奨により退職することとなりました。
Xには、データをすべて消させ、かつ、データをすべて消去したことの念書も書かせました。
その上で、女性社員を集め説明会を開き、私から本件の経緯、Xが退職に至ったこと、データを全て消去させたことを女性社員に説明し、ご納得いただきました。
3.3 事例3「暴言によるパワハラ」
事例3
若手社員Xに対し、有能なベテラン社員Yが、上司のいないところできつい物言いなどをしていた Xがそれを苦にし、上司に直訴した |
この件について、調査を開始したところ、第三者、当事者の事情聴取から、YがXにきつい言い方をしていることが事実であることが分かりました。
ベテラン社員Yに、けん責の懲戒処分をした上で、Yに口頭で謝罪をさせました。
さらに「謝罪があった事実、Xが謝罪を受け入れた事実」を確認した文書を作成し、加害者にも被害者にも署名押印してもらいました。
以降、ハラスメントは起こらなくなりました。
4.4 事例4「業務時間外における暴行」
事例4
会社の仲間が数人で仕事後飲みに出かけた。 お酒の場で、部下Yが上司Xに絡み、喧嘩となり、上司Xが部下Yを殴ってしまった。 警察沙汰にはならなかったものの、Yは総務に対し暴行されたことを直訴した。 なお、暴行は、店外で代行業者が待っているところで行われた。 飲食店も代行業者もXとYがどこの会社に勤務しているか知っていた。 また、今回の被害者Yは、以前、他の社員に暴行をしたことがあり、その際は不問となっていた。 |
この件について、暴行した行為は私生活上の行為であり、懲戒処分ができるかが問題となります。
この点、飲食店も代行業者もXとYの勤める会社名を知っており、会社の信用を毀損したと言い得ること、宴席には当該会社の社員のみの参加だったので、純粋な私生活上の行為とも言えないと考えられることから、懲戒処分はし得ると考えました。
その上で、加害者である上司Xにはけん責の懲戒処分、部下Yも上司Xに絡んだことや以前喧嘩を起こしたことがあったことから、懲戒処分ではないが文書で厳重注意をしました。
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以上の事例のように、ハラスメント問題が起こった場合、企業側を担当している弁護士に早期に相談をすることで、訴訟等に発展することなくハラスメント問題に対処することができます。
4 まとめ (法的リスクとその対応策)
ハラスメント放置のリスク(前コラム:パワハラを放置することの法的リスク) ・退職連鎖 ・人手不足 ・メンタル不調 ・労災 ・インターネットの転職サイトで中傷の書き込みがされる |
当事務所では、以下のような観点から企業様のお手伝いをさせていただいております。
★ハラスメントその他問題行動がある場合の事実認定のお手伝い
★懲戒処分や謝罪をどうするかのご相談
★退職勧奨、解雇をする際のアドバイスやスケジューリング
★ネット上での炎上問題、誹謗中傷問題でのご相談
★労働組合との団体交渉、労働者側弁護士との交渉
★社員様のためのハラスメント研修、クレーム対応研修
ハラスメントに関するお悩み、問題を抱えていらっしゃる企業様におかれましては、ぜひ一度当事務所までご相談ください。