精神疾患による労災の認定が増えている?
1 精神疾患による労災の認定状況
厚生労働省より、令和5年度の過労死等の労災補償状況が公表されました。
公表結果によると、令和5年度の1年間で仕事上のストレスにより精神障害を発病したとして労災請求があった件数は3575件で、このうち、労災認定がされたのは883件でした。
昨年度の請求件数は2683件、認定件数は710件で、前年度からすると請求件数は892件、認定件数は173件、それぞれ増加しました。
なお、厚生労働省が統計を始めた1983年度以降、認定件数は過去最多を5年連続で更新しているそうです。
労災認定された年齢を見ると、40~49歳が239件、20~29歳が206件、30~39歳が203件となっており、働き盛りの世代に多く労災認定がされています。
また、原因別で最も多かったのは、
「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」で157件、
次いで、
「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が111件、
「セクシュアルハラスメントを受けた」103件、となっており、パワーハラスメントが1位という結果になっています。
ちなみに昨年度の精神疾患による労災認定原因のトップもパワーハラスメントでした。
2 精神疾患による労災請求が増加している理由
精神疾患の労災が増えている理由について、厚生労働省の担当者は、
「精神障害も労災認定されるとの周知が進んだほか、認定基準の改正で心理的評価の項目が出来事別に拡充され、労働者が自分に起きた出来事がどれにあたるか判断しやすくなったこともある」
と述べているそうです。
(この件に関する読売新聞社のインターネット記事はこちら)
3 弊所にご相談ください
社労士先生は、関与先様での退職勧奨に立ち会われたり、懲戒処分の手続きに携わったりする機会も多いかと思います。
退職勧奨を行う際には、労働者にパワーハラスメントと取られてしまうような強い言動を避けるなどの配慮が必要です。
社労士先生におかれましては、労働者の退職勧奨や懲戒処分の際、関与先様の言動がパワーハラスメントとならないよう助言・指導いただければと存じます。
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