Vol.43【中小企業のための最新のハラスメントの知識 その4】
(令和元年9月19日)
【中小企業のための最新のハラスメントの知識 その4】
前回,吉本興業のハラスメントについて記事を書きました。
私は,労働判例という判例集を定期購読していて,ハラスメントに関する裁判例も相当数見ています。
研修会の時などにお話しさせていただくことが多いのですが,ハラスメントは二つの類型に分けることが出来ると思います(あくまで私の分類です)。
一つは従来型というもので,圧倒的に悪い加害者が,被害者をいじめているものです。
最近の例でいえば,スルガ銀行で行われたハラスメントがこれにあたります。
スルガ銀行のハラスメントは,上司が自己の出世に躍起となり,ノルマが達成できないのなら飛び降りろなどと部下を脅していました。
このような論外なケースが従来型です。
そもそもハラスメントというのはこのような例を想定していると思いますし,皆様の感覚でもハラスメントというのはこのようなケースではないでしょうか。
もう一つのハラスメントの類型は現代型というものです。
これは問題行動をする,あるいは仕事があまりできない社員さんに対し,上司がそれを注意したり正したりしたいときに,つい言い過ぎてしまう,また逆上してしまうなどして,それをハラスメントだと逆に攻撃されるパターンです。
ある有名な保険会社のハラスメント事件があります。
これは案件処理がすすまない総合職の社員に対し上司が何とか仕事を捗らせようと,「一般職の人でももっとできますよ。
これ以上当センターに迷惑をかけないでください」とメールを送ったものです。
しかも,そのメールはセンターの十数人に一括送信されました。
確かに言い過ぎだなと思います。
ただ,総合職だけあってかなりの高給で,しかも仕事の停滞は顕著だったようで,上司の気持ちも分からないわけではありません。
仮にこのメールが1対1で送られていたら,裁判には発展しなかったでしょう。
上司が勢いあまって,他の社員にもメールをccで送ってしまったため,ハラスメント問題になりました。
問題のある社員に対する指導方法を間違えたことによりハラスメントとされたもので,このようなパターンが現代型ハラスメントかと思います。
吉本興業の件も,そもそも悪いのは宮迫氏です。
責められるべきなのも宮迫氏です。
ただ,吉本興業は宮迫氏をどのように扱うかという社員対応に失敗してしまい,宮迫氏からカウンターパンチを打たれてしまいました。
ハラスメントとされる事件はこのような現代型が多くなってきているので,くれぐれも注意です。
現代型ハラスメントと言われないように,社員が問題行動をした場合にどのように対処するかについては次回お伝えいたします。
編集後記
遅ればせながらの報告ですが,今年も館林まつりで,神輿を担いできました。
同好会に所属し,かれこれ10年以上,館林まつりで神輿を担いでおり,その間メンバーさんの移り変わりを見てきています。
そこで思うのは,メンバーの高齢化というか,若い方があまり入会してこないな,ということです(それでも私が所属している同好会は若い方が入会してきているようです。他の同好会は,より高齢化が深刻だと思います)。
当たり前ですが,神輿はとにかく重いです。
30代の頃は,怪我をあまり気にしていませんでしたが,今は神輿を担いでいると,ぎっくり腰になるのではないかと,はっきり言って怖いです。
50代となったら,更に恐怖心は増すでしょう(私の同好会の方は筋金入りの祭り人で,怖さや痛さを超越している感があります。私のような半端者とは違うのです)。
若い方にもっと同好会に入ってもらって,若さで元気に神輿を担いでもらいたいなと思います。
日経MJの9月16日号に,神輿の担ぎ手だけでなく,祭り自体,高齢化やマンネリ化で集客に問題が生じてきているという記事がありました。
2017年には,4日間の集客が120万人を超えるといわれる,あの徳島の阿波踊りで,4億円以上の累積赤字があったことが発覚しました。
もちろん伝統は重要ですが,若い人が,祭りや神輿に,「行きたい,参加したい」と思えるようにするためには,祭りや神輿も現代風に変わっていかないといけないと感じます。
今年の神輿の写真はこちら
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