Vol.3【上司はパワーハラスメントなんて気にする必要ない!? その3】
(平成27年6月12日)
【上司はパワーハラスメントなんて気にする必要ない!? その3】
今回のテーマも,前回に引き続き,パワーハラスメントです。
蒸し暑くなってきて,ビールが益々美味しくなる季節です。
会社内で飲みに行くことも多くなってくるのではないでしょうか。
さて,今回は宴席でのパワーハラスメントについて,考えてみたいと思います。
昔は,上司と飲みに行った席で,上司からお酒を注がれたらそれを飲むのは鉄則だったように感じます。上司の「俺の酒が飲めないのか」などというセリフをテレビでよく見ました。
お酒が飲める部下なら,そのように言われても,何とか飲めるのでそれほどの問題にはなりません。
ただ,部下には,お酒を飲めない体質の人もいます。
では,上司が飲めない部下にお酒を勧めるのは,パワハラになるでしょうか。
この点を判断した興味深い裁判例があります。
会社の上司がアルコールが全く飲めない従業員に対し,
「少しくらいなら大丈夫だろ」,「お前,飲めるんだろう。そんなに大きい体をしているんだから飲め」,「俺の酒は飲めないのか」,
などと言って執拗にビールを飲むことを要求し,従業員が少しグラスに口をつけると,またお酒を注ぎました。
従業員は,気持ち悪くなりトイレで吐いてしまい,上司にそのことも伝えたのですが,上司は「酒は吐けば飲めるんだ」などと言って,さらに飲ませました。
この上司の行為について,東京高等裁判所は,単なる迷惑行為に留まらず,民事上違法として,損害賠償の対象になると判断しました。
「酒は吐けば飲めるんだ」というセリフもよく聞くような気がします。
昔はこのように飲ませるのもセーフだったかと思いますが,今はアウトとなってしまいますので,宴席での発言にはくれぐれもご注意を。
- メールマガジンvol.100 【抗うつ剤の服薬の虚偽告知が解雇事由として考慮されるべきとされた裁判例】
- メールマガジンvol.99 【セクハラ事案で「同意の抗弁」は通用するか?】
- メールマガジンvol.98【カスタマーハラスメントへの対応】
- メールマガジンvol.97【取締役会による退職慰労金減額の有効性】
- メールマガジンvol.96【カスタマーハラスメントの防止対策】
- メールマガジンvol.95【大谷選手と水原氏の件から考える不正領得への対策方法について解説】
- メールマガジンvol.94【大谷選手と松本氏の件から考える危機管理の初動の大切さについて解説】
- メールマガジンvol.93【松本人志氏対週刊文春の訴訟について解説】
- メールマガジンvol.92【偽装業務委託契約のリスクについて解説】
- メールマガジンvol.91【アマゾンジャパンに関するニュース記事の考察】