Vol.15【中小企業のための時効の知識 その5】
(平成29年2月10日)
【中小企業のための時効の知識 その5】
時効についての知識の記事は今回が最後となります。
時効というのは,皆様がご存知ないだけで,案外,成立していることが多いものです。
私が経験した裁判でも,ご依頼者さんがお金の請求をされているところ,こちらから時効にかかっているという主張をして,半ば認められて,勝訴と言ってもよい和解をしたことがありました。
建築関係の債権は3年で時効にかかってしまうので,下請業者さんからの請求が時効にかかっているということはしばしばあります。
こちらが債務者である場合(お金を支払う立場にある場合),常に,自身の債務が時効にかかっていてその債務は支払わなくてもよいかもしれないという考えを持つ必要があります。
実際に時効にかかっているかは専門家にご確認頂きたいのですが,重要なことは,安易に,相手方から債務確認書などという書面にサインを求められてもサインしないことです。
仮に,自身の債務が時効にかかっていても,債務確認書などで債務を認めてしまうと,もはや時効の主張ができなくなってしまうからです。
債権者は時効の利益を奪うためにサインを求めているのかもしれませんので注意が必要です。
債務確認書と書きましたが,書式は何でもよく,念書でも効力はありますし,極端な話メモ書きでも,いったん債務を認めると,時効の主張はできなくなります。
従いまして,くれぐれも,債務を認めるような書面にはサインをしないよう気を付けてください。
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