Vol.19【中小企業のための契約の知識について その4】

(平成29年6月22日)

 

【中小企業のための契約の知識について その4】

 

前回までのメールマガジンで,契約書を結ぶ意味を,①できる限り取引を有利にすること,②代金や行う仕事の範囲を特定して言った言わない問題が起きたり,理不尽に仕事の範囲を拡大されたりすることを防ぐことにあると説明いたしました。

 

 

ところで,会社によっては,得意先様から契約書が送付されてきて,「調印して送ってくれ」と言われて,それをノーチェックで署名押印して,送付してしまうことがあるようです。

 

このように,契約書をノーチェックで送ってしまう理由を考えてみると,3点ほど思い当たります。

 

理由その① 契約書の中身が分からない

 

理由その② チェックしたところで,得意先に契約書の条項を変えてくれ,と言えない

 

理由その③ 今まで問題なかったから今後も大丈夫だろう

 

しかし,①から③はいずれも合理性がないと言わざるを得ません。

 

 

まず,①の契約書の中身が分からないというのは,契約書の文章というのは法律用語で書かれているので,もともと,独特でわかりにくいものです。

 

また,法律家以外の方は,何が標準的なルールかも分からないので,分かりにくさに拍車をかけています。

 

だからといって,ノーチェックというのはあまりに危険なので,最低でも一読し理解するように努める必要があります。

 

 

次に,②得意先に条項を変えてくれといいづらいというのは,むしろ契約書の内容を確認して意見を言うというのは得意先からしっかりした企業だと見直される可能性もあり,一概にマイナスだとは思いません。

 

仮にこちらの意見が通らなくても,その契約のリスクがわかるだけで,ノーチェックの場合とは全く違うと思います。

 

 

③今まで問題なかったとしても,今後どうなるかは分からず,いざトラブルが起きた時に貴社が大変な損害を被ってしまう恐れもあります。

 

契約書というのは「いざ」というときに問題となるものであり,平時では問題となることはないので,契約書に対し意識が向きにくいということがいえます。

 

契約書というのは「いざ」というときに問題となるものであり,平時では問題となることはないので,契約書に対し意識が向きにくいということがいえます。

 

契約書というのは元来分かりにくく,普通は読みたくないものであり,ノーチェックで署名押印して送り返したくなる気持ちも分かるのですが,そのようないわば思考停止状態は自分の会社や従業員に対する責任を放棄しているのと同じです。

 

 

最低でも自身でチェックし,可能であれば専門家に見てもらうことをお勧めします。

 


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