Vol.29【中小企業のための懲戒処分の知識について その2】

(平成30年6月29日)

 

【中小企業のための懲戒処分の知識について その2】

 

前回のメルマガでは,懲戒処分には,3つの特徴があり,大いに活用すべきということをお話ししました。

 

第1の特徴は,違法行為や不当行為の抑止力が大きいということです。

 

懲戒処分書という形式の厳めしい文書を渡され,注意されると,処分を受けた方はかなりのプレッシャーを受けます。自分のしたことの重大さを再認識させ,戒めることができるのです。

 

プレッシャーをかけるという点では,債権回収の際の内容証明郵便にも似た効用があるといえます。

 

 

懲戒処分の第2の特徴は,違法行為があったことの証拠を残せることです。

 

違法行為があった場合,社員さんは違法行為のあったその時は反省して,もうやりません等と言うと思います。

 

しかし,年月が経つと悪いことをしたという気持ちも記憶も薄れていきます。場合によっては,会社に対し違法行為をしたことを否認することもあり得ます。

 

ですが,懲戒処分をした社員さんから処分の事実関係に間違いないという署名をもらっておけば,違法行為を否認されることはまずないです。

 

このように,懲戒処分には違法行為の証拠を残す機能もあります。

 

 

懲戒処分の第3の特徴は,将来解雇するための材料にもなるということです。

 

今までのメルマガでもお伝えしましたが,解雇というのは,悪質な行為があってもいきなりはできないことが多いです。

 

裁判所が処分歴のない人の解雇を有効だと判断するのは,例えば横領をした時や車関係のメーカーで飲酒運転をして人に怪我を負わせ有罪となった時など,「それは酷い。当然解雇だろう。」と誰しもが思うような場合です。

 

その他の解雇は,裁判で有効性を争われたら無効となってしまうことが多いです。

 

ですが,業務の手落ちがあった都度,懲戒処分をしておけば,後で解雇をする際に,これだけ懲戒処分を重ねたのに,態度が改まらなかったということで,解雇がしやすくなります。

 

つまり,懲戒処分は後々の解雇のための正当な理由もしくは下準備にもなるのです。

 

 

このように色々な面で,懲戒処分は有用です。

 

手続や公表の方法などについては次回以降,お話ししたいと思います。

 

 


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