Vol.30【中小企業のための懲戒処分の知識について その3】
(平成30年7月30日)
【中小企業のための懲戒処分の知識について その3】
前回のメルマガでは,懲戒処分には,3つの利点があり,第1の利点は,社員の違法行為や不当行為の抑止力が大きいということ,第2の利点は,社員の違法行為があったことの証拠を残せること,第3の利点は,将来解雇するための材料にもなる,ということについてそれぞれお伝えしました。
懲戒処分は会社内の秩序を守るためにされます。
懲戒を有効に行うためには絶対的な要件が3つあるので,見ていきます。
まず,第1に,就業規則に懲戒処分ができることが書いてある必要があります。
これは最高裁判所が言っていることなので,必ず守らないといけないことです。
就業規則がないという会社は懲戒処分ができないので,懲戒処分をするためにも就業規則は作った方が良いと考えます。
第2に,就業規則に書かれている違反行為へ当てはまっていることが必要です。
多くの会社の就業規則には,秩序違反行為が列挙されていると思います。
この秩序違反行為の一つに当てはまっていることが必要です。
例えば,無断欠勤した社員を懲戒処分する場合には,下のように規定されていることが必要です。
「会社は,以下の場合に,懲戒処分ができる。
1号 正当な理由がなく欠勤した場合。
2号 ~~ 」
この場合,無断欠勤した社員は1号に該当するので,懲戒処分ができます。
どんな違反行為にも対処できるように,1号から30号くらいまで行為を列挙し,その上で,「31号 その他前号に準ずる行為をした場合」と包括的な条項を入れるのがスタンダードです。
さらに,懲戒処分をするための第3の要件として,適正な手続を経た上で処分をすること,が必要とされています。
就業規則で,「懲罰委員会(懲戒委員会等)を開催して処分を決める」のように規定されている場合,必ずこれらの手続きを経る必要があります。
この手続を経ないで懲戒した場合,後に裁判となった時に無効とされる可能性があります。
仮に,「懲罰委員会(懲戒委員会等)を開催して処分を決める」のように書いていなくても,労働者に言い訳をする機会(弁明の機会)を与えることが必要です。
弁明の機会を与えていないと,訴訟などで相手方の弁護士から指摘されることがあるので注意が必要です。
上の第1から第3の要件を充たしていても,処分が不平等だったり,事案の内容に比べ重かったりすると,懲戒権を濫用したといわれることがあります。これらについては次回以降お伝えします。
【編集後記】
今年の暑さは異常ですね。
私の事務所がある館林市は暑さで有名です。
ただ,「観測所がある場所が,アスファルトに囲まれていて,館林市は暑い温度が出やすい。館林はズルい。」などと言われ,インターネットの掲示板などではズル林などと揶揄されることもありました。
暑さに誇りを持っている他市からこのような指摘をされたからかどうかわかりませんが,館林市では,6月に気象観測所の設置地点が変わりました。
現在は館林高校の敷地内に観測所があります。
気象庁のホームページでは,以前の観測所と現在の観測所でそれぞれ観測された気温が載っており,温度は移設前より0.5度から1度くらい低くなっています。
最近は,同じ群馬県の伊勢崎市や埼玉県の熊谷市に気温で後塵を拝しており,市民には負けて悔しがっている人もいるそうです。
私は伊勢崎市などが館林市の気温を上回ると自分の住んでいる市だけが特別に暑いわけではないことを確認でき,心が休まります。
暑い中,今年も館林まつりでお神輿を担いできました。
神輿を担いでいる最中は,疲労困憊で訳が分からなくなっているのかもしれませんが,不思議と暑さを感じません。
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