Vol.50【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その2】
【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その2】
スバル社が群馬製作所の操業を4月11日から5月1日まで停止すると発表しました。
新聞では、スバル社の正社員も昨日知らされたと書かれており、今朝の報道を目にした本県や栃木県県南の皆様の衝撃は大きかったと思います。
操業停止の理由は、部品供給がストップする見通しであるためだけではありません。
ご存じのとおり、スバル社はアメリカでの販売が絶好調でした。
しかし、現在のアメリカの状況から考えると、今後の新車販売が困難であると見込まれ、そのことも、操業停止の大きな理由です。
スバル社に関係した受注をメインとしている本県や栃木県県南の企業様の中で、自社工場の操業を停止しないといけないと真剣に考え始めた企業様も多いのではないでしょうか。
では、新型コロナウイルスの影響で得意先の工場が操業停止になったため、自社も操業停止とした場合、従業員の給料はどうなるでしょうか。
労働基準法では、「会社の責任による休業」にあたる場合には、会社は通常の賃金の6割の休業補償をしないといけないとされています。
判例では、この「会社の責任による休業」は、一般的な感覚よりも広く解釈されていて、「使用者側に起因する経営・管理上の障害」を含むとしています。
判例を一つご紹介いたします。
親会社が経営難により資材・資金の供給をストップしたことにより、下請工場で操業が不可能となってしまいました。
この場合には、下請工場(使用者)とその従業員(労働者)との関係では、操業が不可能になったことが、使用者側に起因する経営・管理上の障害によるものであるとされました。
したがって、下請工場の操業停止は、使用者側に起因する経営・管理上の障害であり、会社の責任による休業にあたるとして、裁判所は、下請工場の操業停止について、従業員への6割の休業手当の支払いを命じました。
スバル社のケースを考えてみましょう。
スバル社の操業停止を受けて自社も操業停止とせざるをえなくなった会社が、スバル社の子会社である場合はともかく、取引先に過ぎない場合には、さすがに使用者側に起因する経営・管理上の障害とは言えないと思います。
したがって、スバル社の操業停止によって起こる会社の操業停止は、「会社の責任による休業」にあたらず、社員に休業手当を支払う必要はないと考えます。
ただし、これはスバル社関連の仕事を主として行っている場合であり、スバル社関連の仕事が3~4割程度の場合(実際そのような企業様も多いと思います)には違う判断になり得ます。
こういった場合には、操業を3~4割減にするなどして対応することが良いと思います。
なお、休業手当を支払った上で、助成金の申請をするということも考えられます。助成金申請を速やかにするには社労士先生にご依頼されることをお勧めいたします。
助成金についてはこちらをご覧ください。
また、新型コロナウイルスについての労働問題に関するコラムをまとめました。
最近の法律問題のコラムと合わせてご覧ください。
【編集後記】
昨日、前橋市にて、ある団体の会務で、20名以上が参加する会議に出席しました。
先日開かれた政府の専門家会議では、「50人以上が集まる会議」を避けるよう呼びかけが行われました。
これには当たらない規模ですが、会議に参加した他の会員からは「コロナが怖い」という意見があり、コロナを理由に欠席する会員もいました。
正直なところ、私も感染が怖かったですし、あまり喋らない方が良いかと思い、発言は控えました。心なしか他の会員にもそのような傾向が見られました。
次回からはスカイプなどを使ったウェブ会議も検討されるということです。
昨日、国会でも同様に、ある議員がこの難事を機に会議や授業のIT化を促進すべきだということを意見していました。
前橋市まで行くのは大変なので、ウェブ会議にしてもらえると助かることは助かるのですが、会議の妙というのは人の表情やその場の実際の空気を読むというところにあると思っています。
もちろん、コロナの問題が落ち着くまではウェブ会議にすべきだと思いますが、ウェブ会議というのは何となく味気ないなとも感じています。
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