安易な解雇に潜むリスク
目次 1 就業規則違反=解雇できる? 2 解雇無効の負担 3 解決金の決定 |
1 就業規則違反=解雇できる?
就業規則違反があれば解雇できるのでしょうか。
例えば
35条 会社は次の場合に、社員を普通解雇する 1 会社に無断で5日連続欠勤した場合 2 ○○○○ 3 ○○○○ |
このような就業規則で、実際に5日連続で無断欠勤をした社員がいた場合、会社は当該社員を解雇できるかというと・・・
解雇はできない可能性が高いです⚠
労働契約法16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」 |
つまり、就業規則は万能ではなく、裁判になれば、裁判所による解釈で、就業規則内容がその場限りで変えられたり、適用されなかったりします。
2 解雇無効の負担
事例1
A社は、令和3年7月10日、Bについて勤務意欲が低く改善の見込みがないとして、解雇した。 しかし、解雇は無効であるとして、Bの代理人弁護士からA社に対し、以下を求める内容証明郵便が送られてきた。
①従業員の地位の確認 ②復帰までの賃金 ③不当な解雇をされたことによる慰謝料
要求を拒絶すると、裁判が起こされた。 |
この裁判で負けると、どのような結論になるでしょうか。
労働契約には2つあります。
・使用者の労務の提供を求める債権
・労働者の賃金債権
ここで、使用者が労務の提供を求める債権を自分の責任で消滅させた場合、労働者の賃金債権は消えません。
解雇が無効とされた場合、解雇してから裁判が終わるまでの期間、会社が、自身の責任で労務の提供を求める債権を消滅させていたことになります。
結果、賃金債権は消えないため、裁判をやっている期間、労務の提供はないにもかかわらず、賃金債権は発生し続けます(バックペイ)。
3 解決金の決定
解雇無効の裁判は、ユニオンや労働者側の弁護士にとって取り組みやすいタイプの事件です。
和解で終わることも多いですが、多額の解決金を支払うことになります。
解決金の決定は以下の通りです。
就業規則に該当するということで安易に解雇することのリスクは大きいです。
しかし、それでも解雇しなくてはならない場合もあるでしょう。
解雇を進める際の注意についてお知りになりたい方は、ぜひ当事務所までお電話ください。