メールマガジンvol.101 「嘘ハラ」と思われる事案でハラスメント調査は必要か?
昨年年末から中居正広氏とフジテレビの問題でメディアが大騒ぎを
フジテレビはスポンサー離れが生じていて、 広告収入が200億円超減となるとも言われております( 日本経済新聞)。
フジテレビのコンプライアンス違反としては主に、
①女性の上納システムがあったのかという問題、
② 女性に何らかの体調不良が出ていて中居氏との間でトラブルがあっ たことを把握していたのに調査をしないで中居氏を起用し続けたと いう問題、
が挙げられます。
② については社内調査が不十分であるということがコンプライアンス 違反となっているわけです。
この点は、問題社員対応において、 企業側弁護士の立場からしても社内調査不十分だと感じることが良 くある事柄があります。
それが「嘘ハラ調査問題」です。
「嘘ハラ調査問題」というのは私が名付けたもので、 具体的には協調性に難のある問題社員などがいて、その社員が「 上司等からハラスメントを受けた。」などと主張する場合に、 ハラスメント調査をする必要があるかどうかです。
問題社員が「ハラスメントを受けた。」 などと主張することはしばしばあります。 このような場合、会社としては内心「 あなたこそ他の社員にハラスメントをしているのではないですか。 」 と問題社員の主張を嘘と決めつけ全く取り合わないということもま たよく見られます。
しかし、 このような場合にハラスメントの有無などを全く調査しないという ことになってしまうと後々問題社員と法的紛争になった場合に「 会社が何も調査をしなかった。」 などと責められるきっかけを与えることになってしまいます。
また、 会社と問題社員は対立関係になってしまっていることが多いのです が、 問題社員からのハラスメント申告であってもそれに対し一定の調査 をすると、問題社員の方でも「自分の話を聞いてくれた。」 として、対立感情が和らぎ、 退職勧奨に応じるということもあります。
ですから、「嘘ハラ調査問題」では、 問題社員からの主張だとはいえハラスメントの有無を簡単でも良い ので調査したほうが良いでしょう。
調査手法としては、まず①第三者、次に②被害者(問題社員)、 最後に③加害者から話を聞き、聴取事項を書面にまとめ、 ハラスメントの事実があったかを判断します。
フジテレビの件でも、 女性に何らかの体調不良が出ていて中居氏との間でトラブルがあっ たことを把握した時点で、 中居氏を今後も起用したいということであっても、 一連の調査はするべきでした。調査をした上で、 示談が済んでいること等を考慮して今後の方針を決めて実行してい れば、 ここまでの経済的損害を被ることはなかったように思います。
とにかく、 何かコンプライアンス違反に関わる事実の申立や端緒があった場合 にそれを調査しておくというのは、一定の規模感の企業様の場合、 風評被害等様々なリスク防止の観点からは重要だと思われます。
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