Vol.14【中小企業のための時効の知識 その4】
(平成29年1月6日)
【中小企業のための時効の知識 その4】
今回は,どんな債権について,どの程度の時効期間が定められているかについてお伝えします。
まず,交通事故にあった場合の不法行為の損害賠償請求権は,原則として,事故の日から3年です。短いなと思います。
ただし,後遺障害が残る場合,「もう良くならない」という段階(「症状固定」といいます。)から3年とされています。
それから,建築業者さんの工事請負代金債権,これも3年です。
製造業者さんの製造物の代金債権は5年です。
売買代金については,卸売商,小売商,商品生産メーカーについては2年とされており,かなり短いと言えます。その他の売買代金債権は5年です(ちなみに,電気料金もここに含まれ,時効は2年です。)
不動産の賃料の時効は5年です。
最近は病院などで診療費の不払いが問題となっており,病院の経営を圧迫することがありますが,診療費は3年の時効にかかります。
実務で私がよく直面するのが,労働者の労働債権で,これは2年の時効にかかります(ただし退職金は5年)。
保険料の支払い義務は1年の時効です。
これらの時効は,支払い時期の翌日から進行を開始することになります。
例えば,売買代金の支払い時期が平成28年12月31日であれば,平成29年1月1日から始まります。
時効などでもよく思うのですが,インターネットで出てくる回答などは,あてにならないものが多いです。
時効については勘違いも多いところなので,「あれ」と思ったり,時効期間を経過しているかもしれない債権があったりするような場合,なるべく早めに弁護士など専門家に相談することをお勧めいたします。
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