Vol.2【上司はパワーハラスメントなんて気にする必要ない!? その2】

(平成27年5月27日)

 

【上司はパワーハラスメントなんて気にする必要ない!? その2】

 

今回のテーマも,前回に引き続き,「パワハラ」です。

 

前回は,パワハラの従業員に対する暴言について説明しました。今回はもう少し,具体例をお話ししたいと思います。

 

 

「バカ」,「アホ」などと言ったら,パワハラになると前回書きました。

 

その他,パワハラになると思われるのは,「俺に楯突いたらクビにする」,「頭がおかしい」,「病院に行った方がいい」,「使い物にならない人間はうちにいらない」,「だからお前はダメなんだ」,「君の給料で派遣社員を何人雇えると思っているんだ」,などです。

 

 

大手保険会社で,上司が部下の業績に関して,

 

「意欲がないなら会社をやめるべきだと思います。当社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職を何人雇えると思いますか。」

 

という内容のメールを当人を含む職場の十数人に送ったという事例があります。

 

メールを送られた社員は上司と会社に対し損害賠償の裁判を起こしました。

 

この事例は,損害賠償請求が認められたと思いますか?

 

 

 

第1審の東京地裁は,「上司に法的責任はない」,としました。

 

しかし,部下は1審判決に納得いかないとして控訴をしました。

 

そして,2審の東京高裁は行き過ぎであるとして損害賠償を認めています。

 

東京高裁の判断は,メールの内容が人格を傷つける侮辱的発言であったことと,十数人の部下にメールを一斉送信したことを重視したものだと思います。

 

100万円の請求に対し,裁判所が認めた損害賠償額は5万円でした。

 

 

この裁判例からは,部下に注意をする際,

 

①侮辱的な表現をしないようにすること

 

②故意に何人もの人に伝わるような態様で注意をしないようにすること

 

が教訓として得られます。

 

 


メールでのご相談予約も受け付け中です。