Vol.20【中小企業のための契約の知識について その5】
(平成29年8月15日)
【中小企業のための契約の知識について その5】
前回までのメールマガジンで,契約書を結ぶ意味について述べてきました。
契約書というのはなくても契約は成立しますが,あえて契約書を結ぶ意味というのは,出来る限り自社に有利に契約を締結することにありました。
当事務所は,製造業の顧問先様が比較的多いのですが,最近,製造業さんの契約書をチェックしていて気になることがあります。
製造業さんが元請さんと製品の部品供給契約を結ぶ際,部品納入後の補償責任をかなり広範に求められているということです。
例えば,契約書で,製品納入後も2年間は補償責任を負うなどとされており,その上,消費者が製品を購入後,製造業者さんが消費者に対して直接補償責任を負うなどとされていることもあります。
もともと商法では製品の売主側の補償責任は,軽いです。
売主が補償責任を負うのは,次の二つの場合です。
①商品を売った場合,買主は直ぐに検品して欠陥があれば売主に連絡しなければならない。検品や連絡を怠ると責任追及はできない。
② 検品してもすぐ見つけられないような欠陥の場合には6カ月以内に欠陥を見つけた場合にのみ,責任を追及できる。逆に言えば,6カ月を過ぎれば売主は買主への補償責任を免れられる。
もちろん,商法上,製造業者さんが直接,消費者に対して責任を負うこともありません。
それもかかわらず,半年の補償期間が2年などに拡張され,さらに,消費者に対し直接に責任を負うなどとされているので,かなり広く下請けの製造業者さんに責任を負わせようとする契約になっています。
このような体裁の契約書が送られてきた場合,どのように対応するかは次回述べたいと思います。
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