Vol.24【中小企業のための解雇の知識について その3】
(平成29年12月21日)
【中小企業のための解雇の知識について その3】
前回,日本IBM事件で解雇が無効とされてしまったという裁判例をご紹介しました。
この件は,会社側が,業務が著しく劣っていて改善の見込みがない場合には解雇できるという就業規則にあたるとして社員を解雇したところ,社員が解雇が無効であると訴え,裁判所も解雇が無効だと判断したものです。
先日,外資系の監査法人に勤めている方とお話ししたのですが,アメリカ人の経営者に,解雇が簡単には認められないという日本のルールを話しても,なかなか理解してもらえず,説明が大変だとのことです。
「ホワイ」と厳しく聞かれたと言っていました。
現状の裁判で,有効に解雇ができるのは, 悪質な犯罪行為をして有罪となった場合や,長期の無断欠勤などかなり限定されています。
悪質な犯罪行為というのは,恐喝や強盗とかのイメージで,酒酔い運転,痴漢や盗撮などの軽犯罪法違反はこれにあたらず,解雇はできないです。
長期の無断欠勤は,30日とか40日くらいの無断欠勤のことであり,このレベルまでいって初めて解雇ができます。
それから,処分の公平性も必要です。
AさんとBさんが同じことをして,Bさんだけ解雇すると,裁判所から合理性がないなどと言われる可能性があります。
実際のところ,かなり厳しいのですが,有効に解雇できることもあり,そのための手順もあります。
次回は,無断欠勤の事例を見ながら,どのように有効に解雇を進めていくかをお話しします。
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