Vol.31【中小企業のための懲戒処分の知識について その4】

(平成30年9月3日) 

 

【中小企業のための懲戒処分の知識について その4】

 

前回のメールマガジンでは,懲戒処分を有効に行うには,

 

①就業規則に懲戒処分ができることが書いてあること,

 

②就業規則に書かれている違反行為に該当する行為があること,

 

③弁明の機会を与えるなど適正な手続を経た上で行う必要があること,

 

などをお伝えしました。

 

以上のことは形式面となります。内容面でも,注意しなければならないことが2つあります。

 

 

まず第1に,処分が行為に対し均衡していること,分かりやすく言うと,行為に対して重すぎない処分であることです。

 

例えば,遅刻が1カ月に3回あったとすれば,懲戒処分の対象になります。

 

ですが,初めての懲戒処分としてできるのはせいぜい「戒告」です。

 

遅刻3回に対して,出勤停止の懲戒処分をしたとすると,処分が重すぎるということで,仮に裁判で争われたら無効となるでしょう。

 

どういった行為にどういう懲戒処分ができるかは,事案やそれまでの指導などがどのようになされてきたかで変わってきます。

 

 

オーソドックスなのは,最初の違反には「戒告」,次は「罰金」,それでも違反行為があったら「出勤停止」と段々と処分を重くしていくことです。

 

ただし,違反行為の情状が悪い場合(例えば無権限の行為をして会社に損害を与えた場合)には,いきなり「罰金」や「出勤停止」ということもありえます。

 

 

次に,案外重要なのが,処分の公平性です。

 

例えば,コンビニエンスストアで,従業員による物品の横領があったとします。

 

そのお店では度々,横領があって,それに対しては不問とされていました。

 

しかし,普段から態度が良くないと思っていた従業員Aの横領が発覚したとします。

 

そこで,お店がAを横領で懲戒解雇しました。これは有効でしょうか?

 

 

横領は犯罪であり,少額でも懲戒解雇しえる場合があります。

 

しかし,Aに対する懲戒解雇は無効となるでしょう。

 

どうしてかというと,他の従業員の横領に対しては不問にしていたのに,Aに対してだけいきなり懲戒解雇をするというのは処分の公平性を欠くからです。

 

Aとしても,他の従業員は不問とされていたのに,いきなり懲戒解雇されるのでは,予測可能性を害されると言えます。

 

この件では,横領額にもよりますが,「出勤停止」くらいが相当と考えます。

 

違反行為に対し,普段から,良く言えば寛大,悪く言えば適当に対処していた会社は重い懲戒処分をいきなりすることはできない,と言えます。

 

 

したがって,懲戒処分は,違反行為があったら,適宜していくことが必要です。

 

懲戒処分を普段から適宜することによって,会社の秩序が守られますし,いざと言う時に重い処分を科すこともできます。

 

 

【編集後記

 

先日,品川に出張に行った際,帰りに,品川プリンス内にある映画館で「カメラを止めるな!」という映画を見てきました。

 

この作品は,最初の40分はホラー映画,後半は「あっ」と驚く展開です。製作費はとても安いそうですが,国内外で高い評価を得ています。

 

実は,原案者と制作サイドで,著作権で法廷闘争に発展しそうにもなっています。

 

 

著作権の争いはともかく,内容は,ネタバレになってしまうので言えませんけれども,素晴らしいものでした。

 

恐怖あり,笑いあり,ほろりとくるところもあります。

 

私は,ホラーシーンが苦手で最初に出てくるゾンビなどはややきつかったですが。

 

 

品川プリンスにはフードコートが入っていて,映画鑑賞の前に昼食をとりました。

 

さすが品川プリンスと思ったのは,フードコートに叙々苑が入っていたことです。

 

フードコートとは言え,叙々苑のビビンバ重,とても美味しかったです。

 

 

 


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