Vol.42【中小企業のための最新のハラスメントの知識 その3】

(令和元年8月9日)

 

【中小企業のための最新のハラスメントの知識その3】

 

最近,吉本興業のハラスメント問題が騒がれています。

 

「会見したら全員クビ」,「お前らテープ回してないやろな」,というような発言がハラスメントであるということで大騒ぎとなりました。

 

「会見したら全員クビ」と言う発言は「クビ」という文言が出ており,確かに威圧的な言い方であることは間違いありません。

 

 

吉本興業と宮迫氏のマネジメント契約がどのようなものかはわかりません。ですが,通常の労働契約とは違う請負契約であり,吉本興業がいつでも解約できるようなものであれば,吉本興業は宮迫氏を「クビにする」(契約解除する)ことはできたということになります。

 

ただ,言い方が威圧的だったのは問題で,「これこれこういう理由で会見は差し控えてくれ」ということであれば全く問題なかったように思います。

 

 

また,「お前らテープ回してないやろな」の発言も,このような問いかけをすること自体は問題ありません。吉本興業側にも勝手に自分たちの声を録取されない権利があり,また,録音されていない方が腹を割った話ができるのは間違いないところだからです。

 

もともと,宮迫氏らがしたとする闇営業も,このような営業自体は法的には問題がありません。吉本興業とのマネジメント契約(契約書はないようですが)にも違反しているわけではありません。

 

確かに,営業先が反社会的勢力だった点は非難を免れられませんが,宮迫氏も反社会的勢力だと知った上でお付き合いしたわけではなく,結果的に反社会的勢力だったということで,本来は謝れば済む話です。

 

 

宮迫氏が世間から反発を買ったのは,

 

宮迫氏は売れっ子芸人で相当な稼ぎがあるはずなのに更に事務所を通さない契約をしていて高額の謝金を貰っていたこと,

 

当初謝金は貰っていないと嘘を言ったこと,

以前不倫をしていて世間を騒がせたのにまた世間を騒がせたこと,

等からでしょう。

 

悪いのは宮迫氏です。それにもかかわらず,宮迫氏がハラスメントを受けたなどとして吉本興業を悪者にするような会見をしたのは違和感があります。

 

宮迫氏の会見によって今度は吉本興業に世間の非難が向かったのは意外な展開でしたが,ハラスメントは許さないという世相を反映しているように感じます。

 

 

吉本興業の危機管理はあまりにずさんでした。

 

上記テープなどの発言自体が不用意であるのに加え,吉本興業ほどの大きなビジネスをしているのにマネジメント契約について書面の取り交わしをしていなかったのは,芸人さんの立場を著しく不安定にし,また軽んずるもので,この点は非難をされてしかるべきです。

 

8月1号の週刊新潮で,島田紳助さんが取材を受け,吉本興業と芸人さんの関係は親子みたいなものであり,親子の関係だから契約書は要らないというような見解を述べられておりました。

 

実際,吉本興業と芸人さんの関係は,会社が芸人さんの面倒を見て育てるような,親子に近い関係かもしれません。

 

吉本興業だけでなく,多くの中小企業は従業員と家族のような関係にあることでしょう。

 

家族関係や徒弟関係から,仕事を覚えてもらう,会社に愛着を持ってもらって頑張ってもらう,というようなことは今後も中小企業ではオーソドックスなあり方だと思います。

 

 

しかし,現代のインターネット社会では,社員さんは色々な知識を得て会社に物申してくることがあるので,信頼関係だけでは企業は足をすくわれる可能性があります。

 

中小企業も大企業と同じように,どのような約束で働いてもらうかは書面を取り交わす,社員が問題行動等をしたら書面で注意や処分をする,会社の規定を整備する等のことが必要となってきます。これらの行為は家族関係,徒弟関係とも両立するものです。

 

 

アメリカでは結婚する前に,離婚の条件について書面で取決めするくらいです。かといって,アメリカの夫婦関係が他に比べてドライなどと言うようことは聞いたことがありません。

 

今後は中小企業でも自身の身を守るために,社員とのルールの取り決め等で書面を用いていくことが必要となってくるので,経営する際にその点を意識いただければと思います。

 

 

【編集後記】

 

私は高崎市生まれの東京育ちです。

 

母が高崎市出身で,子供の頃,母方の親戚から焼きまんじゅうが送られてきて,私もよく食べていました。

 

焼きまんじゅうを知らない人のためにどのようなものかを解説すると,中身が入っていないふかふかの白い素まんじゅうを竹串に刺してこんがりと焼き,甘辛い味噌ダレを塗った,群馬県の郷土料理のひとつです。

 

 

この焼きまんじゅう,前橋市,高崎市では今でもおやつなどでよく食卓に出るようで,専門店もあります。

 

館林市は板倉町と共に群馬県の一番東に位置し,前橋市など県央部から遠く,焼きまんじゅうを食べる文化はあまりないようですが(専門店もありません),館林市でも祭りの屋台などでは必ず焼きまんじゅう屋さんが出店し,こんな(といったら失礼ですが)クラシカルなおやつを現代の子供が食べるのかと思いきや,意外や意外,子供が喜んで食べています。

 

 

ところで,10年前に県内の社会人達のグループが「焼きまんじゅうのうた」というものをリリースしています。

 

DA PUMPのメンバーの1人が,今年の3月に関越道の上里サービスエリアで,焼きまんじゅうのうたがかかったのを聞いて気に入り曲に合わせて即興でダンスをし,そのダンスをビデオ撮影したものをSNSに投稿したところ,大きな反響があったようです。

 

さらに,今年の5月,DA PUMPのメンバー5人が上里サービスエリアで焼きまんじゅうのうたに合わせて踊った動画をやはりSNSに投稿したところ15万回以上の再生数となっています。

 

ひそかに,焼きまんじゅうのうたがブームになっているようで,私も観て聴いてみましたが,「ヤキ,ヤキ,焼きまんじゅう」のフレーズが頭を離れません。

 

 

群馬県は知名度の都道府県ランキングの最下位を栃木県,茨城県と長年争っており,知名度がとても低いので,群馬県の文化がスマッシュヒットするのはとても喜ばしいです。

 

ただ,草津温泉が群馬県にあるのを知らない方が多いように,焼きまんじゅうが知名度を得ても焼きまんじゅうと群馬県がつながらない可能性が高く,これを機に群馬県として焼きまんじゅうを積極的に売り出して欲しいなと思います(大体,DA PUMPのメンバーがダンスをした上里サービスエリアは埼玉県であり,埼玉県の名物だと誤解されかねません)。

 

 

焼きまんじゅうの写真はこちら

 

 


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