Vol.54【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その6】

【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その6】



最近、雇用調整助成金について、以下のような問題点が指摘されているネットニュースを見ました。



①申請手続が難しすぎる
②オンライン申請が認められていない
③前年同月比5%の売上減少が必要である
④上限額が低額である
⑤不正受給の場合、申請を手伝った社会保険労務士に連帯責任がある
⑥受給まで時間がかかる

出典



このうち、個人的に特に問題だと思うのは、⑤です。
申請手続は、社労士先生にお願いすることが多いと思いますが、連帯責任を負わされるとすると、しり込みしてしまいます。
社労士先生に断られたからといって、自分で申請しようとしても、手続きが難しすぎて(?)、結局申請できないという状態に陥っている事業者さんもおられるかもしれません。


このような場合には、休業手当を支払わない休業もやむを得ないように思います。
休業手当を支払わない休業については、こちら

 



「社労士先生に申請をしてもらえそうだ」、もしくは「自分でやりきる」、という事業者さんについては、雇用調整助成金の助成率をよく考える必要があるということを最近考え始めました。


中小企業の場合、解雇等をしない前提の雇用調整助成金の助成率は、支払った休業手当の90%(今後100%に上がる見込み。ただし上限は8,330円)です。

 


他方、解雇等もありうる前提の雇用調整助成金の助成率は75%です。


例えば、休業手当を8,000円支払った場合に得られる助成金は
・解雇を前提としない前提であれば、7,200円(助成率90%の場合)
・解雇等もありうる前提であれば、6,000円
となります。

 


一見すると、7,200円の方が良さそうに見えますが、今後、解雇などをする事態を想定すると、75%の助成率で申請したほうが無難のように最近は考えています。
そのようなことを考えているうちに、高い助成率(90%)で助成金の申請をし、雇用調整助成金を得た後、解雇をしたらどうなるのか疑問に思いました。


①助成率90%と75%の差額を国に返す
(上記の例では、7,200円-6,000円=1,200円を返す)
②7,200円全額を返す

 



この2つの方向性が考えられるのではないかと思い、調べてみましたがわかりません。

 


そこで、直接、厚生労働省にこの点を聞いてみました。
厚生労働省の回答は、
「90%の助成率で助成金の申請をしたが、解雇等がされた場合、どうするのかはまだ決めていない」
というもので、結構いい加減だなと思いました。

 



この回答からすると、90%の助成率で助成金の申請をした場合にも、解雇等をする余地はあると言えそうです(例えば、労働局などに相談し、差額を返した上で解雇するなどです)。

 

 

【編集後記】


安心してご相談いただけるように、事務所の応接机に飛沫感染防止のためのパーテーションを設置しました。



パーテーションは、市販されているのですが、需要が伸びているため供給が間に合っていないようです。
買えないなら作りましょうということで、DIY好きの事務員がアクリル板とL字のアングルを使って自作しました。
私は記憶にありませんが、アクリル板の加工は、中学の技術の授業で習ったそうです。



余った材料でカウンター用のパーテーションも作り、設置しています。


パーテーションの写真はこちら



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