Vol.57【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その9】
【新型コロナウイルス感染症に関する法律問題 その9】
緊急事態宣言が近畿3府県でも解除されました。
ただ、再び緊急事態宣言が出される可能性は大いにありますので、油断はできません。
実際、本日の群馬県の地方紙には、解雇と雇止めの増加に関する記事が掲載されており、景気の悪化に歯止めがかからない見込みです。
したがって、資金繰りについては、これまでのメールマガジンでも述べたとおり、売上が回復するまでは、「貰えるものは貰う」、「借りられるものは借りておく」、「支払いを先延ばしにできるものは先延ばしにする」、というスタンスで臨む必要があります。
前回は、税金、社会保険、公共料金などについて「支払いを先延ばしにできるものは先延ばしにした方が良い」と述べました。
今回は、金融機関からの借り入れについて検討します。
現在、中小企業の経営者様の中では、「金融機関への支払いができない、苦しい」と思っている方が多くいらっしゃるでしょう。
このような場合、金融機関に今後の支払いについて相談し、リスケジュール(返済計画の変更)の申し出をすることが一般的です。
金融機関としても、融資先の倒産は困りますし、今般のような情勢からすれば、リスケジュールに応じてくれる事例が多いのではないかと思います。
ただ、複数の金融機関からの借り入れがあり、どのように返済計画を立てればよいかわからないという方や、金融機関からリスケジュールについて厳しい対応をされてしまったという方もおられるかもしれません。
このような時は、どのようにすれば良いでしょうか。
税理士先生やコンサルタントに相談するという方もおられるかもしれません。
ただ、税理士先生では通常は直接、金融機関と話はしてくださらないと思いますし、コンサルタントなどは費用がかかる割には効果に疑問があるようなケースがあるのではないかと思います。
私がお勧めするのは、「中小企業再生支援協議会」によるリスケジュールです。
中小企業再生支援協議会は、法律に基づいて、各都道府県に置かれている公正中立な公的機関です。
この協議会は、現在のところ、リスケジュールの助力をしてくれる唯一の公的機関です。
例えば、貴社が、A政府系金融機関、B銀行、C信用保証協会へ返済債務があるとします。再生支援協議会は、新型コロナ特例リスケジュールというものを行っていて、A、B、Cの間に入り、リスケジュールの調整をしてくれます。
その上で、事案によっては、A、B、Cに対して、元本の支払い猶予の要請もしてくれます。
さらに、場合によっては、新規借り入れの後押しまでしてくれるのです。
中小企業再生支援協議会は、公的機関であるため、支払い猶予や新規借り入れの要請にあたっての費用は「無料」です。
リスケジュールをする際は、この協議会を使わない手はないので、是非ご検討ください。
電話をするだけで支援を開始できるので、非常に簡単です。
この新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領については、中小企業庁のサイトに掲載されていますので、参考にしてください。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/2020/200406saisei.html
また、中小企業庁の職員による説明動画を、日本弁護士連合会のYouTube公式チャンネルで公開しております。こちらはとても分かりやすいので必見です。
https://www.youtube.com/watch?v=XaPQnEwmlaE
社労士など士業の先生方も、関与先から資金繰りのご相談などをされたときにはこちらの協議会をご案内してみてください。
【編集後記】
飛沫感染対策として当事務所の応接机とカウンターにパーテーションを設置したというお話をお伝えしましたが、法律相談などのパーテーションの設置が難しい場面での対策として、スタッフがフェイスシールドを作ってくれました。
材料は、硬質カードケース、すきまテープ、簡単着脱ベルトで、全て100円ショップで揃うそうです。
頭の大きさに合わせて調整でき、シールドの劣化や破損の場合にも交換が容易なように、簡単着脱ベルトを採用したところが、作成のポイントだということでした。
医療従事者の方をはじめ、現在フェイスシールドが不足してお困りの方が多くいらっしゃると思います。簡易なものではありますが、作り方に興味をお持ちの方はご連絡下さい。
作成したフェイスシールドはこちら
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