Vol.8【中小企業のための債権回収の秘訣 その3】
(平成27年11月26日)
【中小企業のための債権回収の秘訣 その3】
前回までのメルマガで,売掛金について分割金の支払いを求められたら,
①債権回収に黄色信号が灯ったと思って,必ず保証人を求めること,
②誰を保証人にしてもらうかは考えどころで,一番良いのは「会社勤めをしている人」である,
とご紹介しました。
保証人として,「会社勤めをしている人」が一番良いのは,どうしてだか覚えていますか?
それは,いざという時に保証人の給料を差押えられるからです。
この効果は強力で,もともとの債務者は,保証人に恥をかかせる訳にはいかないということで,売掛金を分割払いにしてもきちんと払ってくれることが多いです。
ただ,どうやって,「会社勤めしている人」を見付けるのかという問題があります。
どのように,「会社勤めをしている保証人候補」を見付ければ良いのでしょう?
「会社勤めをしている保証人」を見つける方法は,至ってシンプルです。
まずは,債務者の家族構成を把握します。これは債務者から聞きます。
債権者側がもともと知っているという場合もあるでしょうが,改めて債務者から家族構成を詳細に聞いた方が良いと思います。
債務者が家族構成を教えてくれるのか,と疑問に思うかもしれません。
しかし,教えてくれるものです。
どうしてかと言うと,債務者は,一括弁済しないといけないものを分割にして下さい,と頼んできている立場です。言わば弱味があります。
このような弱味があるので,債権者側から家族構成を聞けば,割と教えてくれるものなのです。
家族構成を聞いたら,次に,誰か「会社勤めをしている人」がいないかを聞きます。
これも,案外教えてくれます。債務者側で,「分割にしてもらえるなら」という気持ちが働くからです。
会社勤めをしている人が分かったら,勤め先も聞きます。
会社名が分からないと,いざという時に給料の差押えができないからです。
会社名も分かれば,会社の住所はインターネットでいくらでも調べられます。
このようにして,債務者に,保証人の候補となる「会社勤めの人」を教えてもらいます。
保証人の候補者が見付かったら,その方を保証人として,分割弁済の和解をしていきます。
具体的な進め方は次回のメルマガでお伝えします。
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