Vol.12【中小企業のための時効の知識 その2】
(平成28年6月10日)
【中小企業のための時効の知識 その2】
前回のメールマガジンで,御社の売掛金について,確実に時効を止めるための方法として,債務者から債権を認めるという書面を貰う,というのが有効であるとお話ししました。
例えば,銀行は時効間際になると,融資先を訪問して,「承諾書」への署名を求めます。この行為の意味は,債権を認めるという書面を貰って,時効を止めることにありました。
では,御社の持っている債権の時効を止めるため,債務者から承諾書を貰う時,どのような書式にすれば良いでしょうか。
これは,そんなに難しくありません。
まず,白紙に,債権の額,債権の種類(例えば,製造業者さんであれば,製品名,請負金額,製品の納入日などで特定します。)を書きます。
そして,相手の住所,会社名,日付を書いて貰えれば大丈夫です。会社名の隣には社印を押して貰います。
例えば,「○○社(御社です。) 御中 平成28年5月30日にEX350を100機納入,残金200万円があるのを認めます。 年 月 日 ○○商事(債務者です。) 代表取締役 山田次郎 社印」と書いてもらえば大丈夫です。後で偽造などと言われないように,山田次郎のところは債務者の社長に自署してもらった方が良いでしょう。
この書面を貰えれば,時効はまた振出しに戻ります。
振出しに戻るということの意味は,3年の時効であれば,この書面の日付からまた3年の時効が始まるということです。
次回は,3年の時効であるのに,3年が経過してしまった時にどうするかをお話しします。
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