メールマガジンvol.89【有期労働契約に関する労働基準法施行規則等の改正】
令和5年3月30日に、労働基準法施行規則等の改正がされました。
これにより、有期労働契約(いわゆる契約社員との間の1年などの契約)を結ぶ場合において、以下の事柄を書面等で説明することが必要となります。
施行日は来年の4月1日です。
①契約締結時において、通算契約期間又は更新回数の上限の有無とその内容を明示する
②更新時等に新たに上限を設ける場合にはその理由を説明する
③通算契約期間が5年超えで有期契約から無期契約に転換権を行使できる社員については、契約更新時に転換申込機会と無期転換後の労働条件について書面で明示する(転換申込機会の明示というのは、あなたは有期契約から無期契約になれますよということを労働条件通知書等で明示することです。)。
これらの有期労働契約の改正等で北関東の社労士先生や中小企業が特に利害関係を持つのは、①「契約締結時において、通算契約期間又は更新回数の上限の有無とその内容を明示する」ことであると思います。
①の改正により、今後、有期労働契約を結ぶ場合、例えば、「通算契約期間は5年」、「更新は4回まで」等と明示しなければならず、これらの明示違反に対しては30万円の罰則があります。
企業が契約社員を雇用する動機は、人は欲しいけれども今後会社の景気が悪くなるかもしれないしその社員が問題社員ならば早めに辞めてもらいたいという点にあるかと思います。
有期雇用契約はこのような企業の動機にマッチしますが、今回の改正等で雇入れ時に、通算契約期間又は更新回数の上限の有無とその内容を明示することが必要となっておりますので、来年の4月からは忘れずにこれをしてください。
忘れてしまうと前述のように罰則の対象となったり雇止め(雇止めとは契約の更新をしないことです。)ができなくなったり等の不利益がありますので注意が必要です。
- メールマガジンvol.90【重要最高裁判決の解説―定年後再雇用された方の賃金制度】
- メールマガジンvol.89【有期労働契約に関する労働基準法施行規則等の改正】
- メールマガジンvol.88【運送業者の残業代請求の裁判例について】
- メールマガジンvol.87【競業禁止期間と競業禁止場所の制限】
- メールマガジンvol.86【競業を食い止める具体的な方法とは…?】
- メールマガジンvol.85【完全歩合給制度等への変更方法】
- メールマガジンvol.84【歩合給振り分け方式の残業代について解説】
- メールマガジンvol.83【歩合を残業代に割り振る給料体系の適法性】
- メールマガジンvol. 82【どのような業種で歩合給を取り入れられるか?】
- メールマガジンvol. 81【完全歩合給では最低賃金に反するか…?】